セスキ炭酸ソーダは、クエン酸や重曹と並ぶお掃除グッズのひとつ。手に負えなくなった汚れも簡単に落としてくれ、しかも安全とあって注目されています。では、具体的にはどんな汚れに効くのでしょうか。詳しい掃除方法と合わせて、セスキ炭酸ソーダが活躍してくれる場所をご紹介します。
セスキ炭酸ソーダとは
セスキ炭酸ソーダは、家庭用洗剤や入浴剤にも使われている物質で、正式にはセスキ炭酸ナトリウムといいます。炭酸ナトリウム(重曹)と炭酸水素ナトリウムの化合物で、水に溶けやすく、水に溶けると弱アルカリ性を示すという性質を持っています。また、掃除用品として、スーパーやホームセンターなどでも売られています。
セスキ炭酸ソーダで掃除できる汚れの種類
セスキ炭酸ソーダで落とせる汚れの種類は大きく2種類あります。ひとつが油汚れ、もうひとつがたんぱく質を多く含む汚れです。どちらもアルカリ性のものでよく落ちるため、セスキ炭酸ソーダはまさにぴったりというわけです。
油汚れ
油汚れの代表格は、キッチン回りの、調理油による汚れです。また、見落としがちなのが、皮脂汚れ。触れる回数の多いドアノブや電気のスイッチのべたつき、素足で歩くことによるフローリングの汚れなど、身の回りには意外と皮脂汚れが多いのです。
たんぱく質汚れ
たんぱく質汚れときいてもピンとこないかもしれません。ひとつは、キッチン回りの食べ物のカスがこれに当たります。肉や魚、卵といったたんぱく質が主体の食品の汚れなら、セスキ炭酸ソーダで簡単に落とせます。
また、人の体から出る垢もたんぱく質が主成分です。お風呂場などにたまりやすい汚れですね。お風呂といえば、カビもたんぱく質を含むので、セスキ炭酸ソーダを使うことで落とすことができます。
重曹との違いは?
重曹は、セスキ炭酸ソーダと同じく水に溶かすと弱アルカリ性を示し、油汚れやたんぱく質汚れに効果を発揮します。ではこの二つはどう違うのでしょうか。
たんぱく質汚れ(食べ物のカス、垢、カビなど)
セスキ炭酸ソーダ | 重曹 | |
---|---|---|
アルカリ性の強さ | より強い(pH9.8) | より弱い(pH8.4) |
水への溶けやすさ | 溶けやすい | 溶けにくい |
水に溶かした状態での保存 | 季節にもよるが、1週間~2ヶ月ほどもつ | すぐに使い切る |
得意な汚れ | 油汚れ(キッチン、ドアノブ、フローリングなど) | 焦げ付き |
基本的にはどちらを使っても、油汚れやたんぱく質汚れは落とせるのですが、その得意分野が違います。
セスキ炭酸ソーダは重曹よりもアルカリ性の性質が強く、油やたんぱく質を分解する力が非常に高いという特徴があります。また、水に溶けやすく、溶かした状態で長期保存ができるので、セスキ炭酸ソーダのスプレーは非常に使い勝手のいい掃除グッズになります。
一方の重曹は水に溶けにくく、少量の水と混ぜることでクレンザーのような使い方ができます。温めると発泡する性質と合わせて、焦げ付きなど、こびりついた汚れを落とすのに高い効果を発揮します。
セスキ炭酸ソーダは重曹の10倍の洗浄力があるともいわれています。どちらを使うか迷っている場合は、焦げ付き中心なら重曹、それ以外ならセスキ炭酸ソーダを選べば間違いないと言えるでしょう。
セスキ炭酸ソーダで掃除できない場所
掃除に大活躍してくれるセスキ炭酸ソーダですが、汚れや素材によっては使えないものもあります。
- 泥汚れ:セスキ炭酸ソーダでは落とせません
- 畳やカーペット:変色の原因になります
- アルミ:黒ずみの原因になります
- 白木:黒ずみや、素材が傷む原因になります
セスキ炭酸ソーダのスプレーの作り方
掃除をする前に用意しておくと便利なのが、セスキ炭酸ソーダを溶かした洗浄スプレー、つまり、セスキ水スプレーです。
- セスキ炭酸ソーダ
- 水かぬるま湯(40~50℃程度)
- スプレーボトル
混ぜる割合は、水500mlに対し、セスキ炭酸ソーダ小さじ1杯です。あまり濃く作ると、目や口に入ったときに危険だったり、掃除する材質によっては変質させてしまったりする恐れがあります。
場所別!セスキ炭酸ソーダの使い方
掃除をする前に(セスキ炭酸ソーダを使うときの注意点)
セスキ炭酸ソーダはアルカリ性のため、たんぱく質を溶かすはたらきがあります。手につくと、表面が溶けてぬるぬるします。濃度が高い、あるいは肌が弱いと肌荒れの原因になりますから、必ずゴム手袋を着用して使いましょう。
掃除のときに気をつけたいのが、セスキ水で拭いたあとは水拭きを欠かさないことです。お風呂は例外ですが、乾いた場所だと、セスキ水で拭いた跡が白く残ってしまいます。固く絞った雑巾でしっかり拭き取りましょう。
レンジフードの掃除
コンロの上に設置されたレンジフードには油汚れやほこりが集まりやすく、固まってやっかいな汚れになっています。セスキ炭酸ソーダを使ってきれいにしましょう。
外せるパーツはセスキ水で浸け置きし、外せない部分はセスキ水スプレーを使って磨いていきます。
- セスキ炭酸ソーダ
- セスキ水スプレー
- 布かスポンジ
- フィルターやプロペラが入る容器(ごみ袋でも可)
- 水かお湯(40~50℃程度)
- ゴム手袋
- 新聞紙か大きめのビニールシートなど
- 養生テープ
【必要に応じて用意するもの】
- プラスチックカード
- キッチンペーパー
- ラップ
- 歯ブラシ
- メラミンスポンジ
レンジフードを掃除すると、とれた汚れがコンロに落ちたり、壁にはねたりします。掃除の前に、新聞紙やビニールなどでコンロと壁を多い、養生テープで留めておきましょう。
【外せるパーツ】
- 外せるパーツを全て外し、容器に入れる
- 容器の中にセスキ炭酸ソーダ大さじ2を入れる
- パーツが全て浸るくらいまで水かお湯を入れる
- 1時間ほど放置する
- セスキ水を捨て、パーツを水でよく洗う
- 落ちにくい汚れはスポンジや歯ブラシを使ってこすり洗いをする
- 布でしっかり水をふき取って完了
【外せない部分】
- セスキ水スプレーを吹きかけた布で拭き掃除をする
- 水で濡らして絞った布で仕上げ拭きをする
これでも落ちない汚れは、次の方法を試してみましょう。
- まずプラスチックカードで汚れをこそげ落とす
- セスキ水をしみこませたキッチンペーパーでパックをする
- 乾燥しないようにラップをする
- 1時間ほど放置する
- ラップとキッチンペーパーをはがす
- そのままキッチンペーパーで拭き掃除をする(セスキ水を吹きかけた布でもOK)
- 落ちにくい汚れは歯ブラシやプラスチックカード、メラミンスポンジで落とす
- 水で濡らして絞った布で仕上げ拭きをする
※動画では普通の洗剤も使用していますが、使わなくても汚れは落とせます。
ガスコンロの掃除
料理をすればするほど油汚れがひどくなっていく宿命にあるガスコンロ。毎日見るところだけに、汚れがひどくなるまで気付かないなんてことも。
五徳は浸け置き、コンロはセスキ水スプレーで磨けば、時間の経った油汚れもきれいになります。
- セスキ炭酸ソーダ
- セスキ水スプレー
- 布かスポンジ
- 五徳が入る容器
- 水かお湯(40~50℃程度)
- ゴム手袋
【必要に応じて用意するもの】
- プラスチックカード
- キッチンペーパー
- ラップ
- 歯ブラシ
- メラミンスポンジ
【五徳】
- 容器にセスキ水をつくる。濃度はスプレーと同じく、水500mlに対してセスキ炭酸ソーダ小さじ1杯
- 五徳を浸ける
- 一時間以上放置する
- 五徳を取り出し、水洗いする
- 気になる汚れはスポンジや歯ブラシで落とす
- 水気を拭き取って完了
【コンロ本体】
- セスキ水スプレーを吹きかけた布で拭き掃除をする
- 水で濡らして絞った布で仕上げ拭きをする
これでも落ちない汚れは、次の方法を試してみましょう。
- セスキ水をしみこませたキッチンペーパーでパックをする
- 乾燥しないようにラップをする
- 1時間ほど放置する
- ラップとキッチンペーパーをはがす
- そのままキッチンペーパーで拭き掃除をする(セスキ水を吹きかけた布でもOK)
- 落ちにくい汚れは歯ブラシやプラスチックカード、メラミンスポンジで落とす
- 水で濡らして絞った布で仕上げ拭きをする
換気扇の掃除
レンジフードに比べると掃除しやすい換気扇ですが、それでもついつい放置しがち。油やホコリ、虫なんかも集まって大変な汚れになっている方もいるかもしれません。そんなうんざりするような汚れを落としていきましょう。
やり方は、ファンなどのパーツをはずして浸け置きするだけ。換気扇の周りの汚れが気になるときは、セスキ水スプレーを吹き付けた布でふいたあとに、固く絞った布で水ぶきをします。
- セスキ炭酸ソーダ
- セスキ水スプレー
- スポンジや歯ブラシ
- 換気扇のファンが入る容器
- 水かお湯(40~50℃程度)
- ゴム手袋
- 布かキッチンペーパー
- 容器にセスキ水をつくる。濃度はスプレーと同じく、水500mlに対してセスキ炭酸ソーダ小さじ1杯
- ファンなどのパーツを浸ける
- 一時間以上放置する
- パーツを取り出し、水洗いする
- 気になる汚れはスポンジや歯ブラシで落とす
- 水気を拭き取って完了
洗濯機の掃除
日々使う洗濯槽の中には、衣類についていたごみやカビがたまっています。セスキ炭酸ソーダを使って一掃してしまいましょう。
やり方は、洗濯槽の中にセスキ炭酸ソーダを入れて、何度か洗濯機を回します。汚れが浮いてこなくなったら、お掃除完了。ほこりキャッチャーなどのパーツも、歯ブラシなどでしっかり磨きます。
- セスキ炭酸ソーダ500g
- 40~50℃程度のぬるま湯か、お風呂の残り湯
- ごみ取りネット
- 歯ブラシ
- 洗濯槽の高水位までぬるま湯を入れる
- セスキ炭酸ソーダを直接中に入れる
- 「洗い」コースで3~5分回す。「洗濯槽」コースがあればそれを選択する
- 1時間以上放置する。長ければ長いほど高い効果が期待できるが、このあとの手順もあるのでほどほどに
- 浮いてきたごみやカビをごみ取りネットですくい取る
- 3~5を繰り返す
- 汚れが浮いてこなくなったら、排水まで行う
- ほこりキャッチャーなど、外せるパーツを歯ブラシで磨く
- パーツを戻し、きれいな水を入れ、「洗い」から排水まで行えば完了
お風呂の掃除
お風呂にたまりやすい皮脂や垢汚れにもセスキ炭酸ソーダは効果的。排水溝も掃除できます。落ちにくい汚れは、セスキ水パックや浸け置きで落としましょう。
セスキ炭酸ソーダは入浴剤としても使われるので、お風呂掃除にはぴったりです。
- セスキ水スプレー
- スポンジやブラシ
【必要に応じて用意するもの】
- キッチンペーパー
- ラップ
- セスキ水スプレーを吹きかけ、スポンジやブラシで磨く。排水溝は1時間ほどおいてから同じように磨く
- シャワーでよく流す
これでも落ちない汚れは、セスキ水パックや浸け置きが効果的です。
【セスキ水パック】
- セスキ水をしみこませたキッチンペーパーでパックをする
- 乾燥しないようにラップをする
- 1時間ほど放置する
- ラップとキッチンペーパーをはがす
- そのままキッチンペーパーで拭き掃除をする(スポンジやブラシを使ってもOK)
- シャワーでよく流す
【浴槽やお風呂アイテムを浸け置き】
- 浴槽の残り湯に、セスキ炭酸ソーダを大さじ1杯入れる
- 洗面器やいす、浴槽の蓋、玩具などを浴槽に入れる
- 1時間以上放置する
- お湯を抜き、シャワーでよく流す
トイレの掃除
カビが原因のトイレの黒ずみや、皮脂や手垢の汚れならセスキ炭酸ソーダできれいになります。便座はもちろん、便座のふた、壁や床、水洗のバーやドアの取っ手、トイレットペーパーホルダーなど、いろいろなところをセスキ水で磨いてみましょう。
- セスキ水スプレー
- 雑巾
- 汚れの気になるところにセスキ水をスプレーし、トイレットペーパーでふき取る
- 拭き取っただけでは取れない汚れは、セスキ水をしみこませたトイレットペーパーを貼りつけ、1時間ほどしてから磨く
- 固く絞った雑巾で水拭きする
トイレの水垢や黄ばみは、セスキ炭酸ソーダでは取れにくい汚れです。その場合、クエン酸を使うとよく落ちます。やり方は、水500mlに対し、クエン酸小さじ2~2杯半溶かしたクエン酸水をつくり、セスキ水と同じように拭き掃除をすればOK。汚れに合わせて使い分けてみましょう。
フローリングの掃除
素足で歩いたり汗が落ちたりと、見えない汚れが少しずつ重なっていくのがフローリング。また、油ものやソースなどをこぼしてしまうと、拭いてもなんとなくべたつきが残ることがあります。
そんな汚れには、セスキ水スプレーを吹きかけてさっと拭き取り、直後に固く絞った雑巾で水拭きします。これで、落ちにくかった汚れもきっと落ちるはずです。
ただし、フローリングにワックスがかかっている場合、セスキ炭酸ソーダと反応して溶け出してしまうことがあります。そうなると却ってべたついたり見た目が悪くなったりしてしまうので、フローリングに使うときはいつもより薄めの濃度で使うようにしましょう。
ドアノブや電気のスイッチなど
人がよく触る場所は、皮脂が残ってべたつきの原因になっていることがあります。気になる場合は、セスキ水スプレーを布にしみこませて、その布で汚れを拭いてみましょう。簡単にきれいにできます。直後に固く絞った雑巾で拭くのも忘れずに。
掃除以外での使い方
洗濯
水30Lに対して、小さじ2~大さじ1のセスキ炭酸ソーダを溶かします。洗剤ケースではなく、直接水の中に入れましょう。「洗い」の時間をいつもより5分ほど長くして洗えば、取れなくなっていた汚れも落とせます。
さらに取れにくい汚れは、浸け置き洗いをしてみましょう。セスキ炭酸ソーダを入れた後に3時間以上おき、そのあと通常の洗濯コースで洗います。
セスキ炭酸ソーダを入れ過ぎると、洗い上がりがべたついたり、臭いが気になったりすることがあります。欲張って量を入れ過ぎないように注意しましょう。
入浴剤
150Lのお湯に、大さじ1杯のセスキ炭酸ソーダを溶かします。お湯が肌になじみ、身体を温めてくれます。
肌の弱い人はピリピリした刺激を感じることがあるので、少なめから調整してみるとよいでしょう。
ステンレス製品のくもりとり
セスキ水(水500mlにセスキ炭酸ソーダを小さじ1杯の割合)を鍋につくり、ステンレス製品を中に入れます。そのまま煮沸してからブラシやスポンジで磨けば、くもりが取れて新品同様に。
アルミ製品は変色してしまうので、使う鍋には注意しましょう。
プラスチック製品のべたつきや匂いとり
臭いが付きやすく、使い続けているとべたつきも出てくるプラスチックも、セスキ水に浸け置きをすればきれいになります。1~2時間ほど浸けて置いたあとに水でしっかり流しましょう。
まとめ
キッチンやお風呂、トイレなど、汚れのたまりやすい部分で大活躍してくれるセスキ炭酸ソーダ。どんなに力を入れても落ちなかった汚れでも、強力な力で簡単にきれいにしてくれます。
掃除以外でも、洗濯洗剤や入浴剤の代わりにも使えるなど、マルチに使えるので、家にあると何かと便利です。
油や手あか、カビなどのしつこい汚れに悩んでいる人は、ぜひセスキ炭酸ソーダでのお掃除を試してみてください。