ウォーキングを習慣にしてヤセる――ポジティブで明るくてスポーティな、前向きなイメージですよね。さっそく可愛いウェアを買ってチャレンジしてみようと思ったあなた……ちょっと待って! いきなり出鼻を挫いてしまうようですが、ウォーキングで燃焼できる脂肪は微々たるもの。期待するほどのダイエット効果はない、という研究結果もあります。それでもウォーキングは、私たち人間の体にとって、いいことづくめ。また、期待するほどではないといっても、工夫次第でダイエット効果を高めることだって出来ちゃうんです。
目次
ウォーキングでの消費カロリー
運動には、大きく分けて2種類あります。有酸素運動と無酸素運動です。まずはこの2つの違いを簡単に説明しておきましょう。
有酸素運動とは、継続的な運動のこと。有酸素運動を行っているとき、人の体は、すでに蓄えられている体脂肪を燃焼させてエネルギーに変えています。燃焼材料として酸素が必要になるため「有」酸素運動と呼ばれているのです。
一方、無酸素運動とは、筋トレに代表される、短時間に行われる運動(トレーニング)を指します。このときのエネルギーは糖質。燃焼は行われませんので、酸素は必要ありません。
ダイエット効果としては、有酸素運動は体脂肪を燃やし、無酸素運動は基礎代謝を向上させます。ここで大切なことがひとつ。基礎代謝が低いと、有酸素運動をしても効果があまり上がりません。基礎代謝は筋肉が多い人、あるいは体の大きい人のほうが高いもの。筋肉のあまりない小柄な女性が歩いても、なかなか体脂肪は燃えていきません。
具体的な数字を出してみましょう。
ウォーキングによる消費カロリーは、体重50kgの人が30分、普通の速度であるいたとして80kcal。早足で歩いても130kcalです。
80kcalとは、ご飯にして小ぶりの茶碗半分くらい。30分も歩いて、たったそれだけの効果しかありません。
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/8420/cal.htm
言い換えると、体重50kgの人が1kgヤセる(体脂肪を燃やす)ためには、43.75時間普通の速度で歩かねばなりません。
http://matome.naver.jp/odai/2137722959588677701
そもそも、残念なことですが、運動でヤセるというのは、結構非効率な話なのです。
スポーツクラブなどでよく見かけるランニングマシーン。ベルトコンベアの上をハムスターのようにタカタカ走って……トレーニングを終えると、「カップケーキ1個分」などと表示されることがありますよね。あれ、やる気がそがれるから、止めてほしい……そう思ったことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか?
ダイエット中に歩くべき理由
はっきりと、断言します。それでも、ダイエット中には歩くべきです。なぜでしょう? それは歩くことは、ことダイエットに関してはそれほど効果的ではないにせよ、私たちの体にとってはいいことづくめだからです。いくつか例をあげてみましょう。
ストレスを解消できる
煮詰まっているときや、トラブルを抱えているとき――いっそのこと外出して、外の空気に触れるだけで、なんとなく気持ちがスッキリすることって、ありますよね。実はあれ、気のせいではありません。もちろん、単純に気分転換になるという側面もあります。けど、ウォーキングすることで、次の3つのホルモンが分泌されることがわかっています。
1.ドーパミン
いわゆる、快楽ホルモンです。興奮したり、気持ちいいと感じたりしたときに脳を刺激する、クセになるホルモン。パチンコなど、ギャンブルでもこのホルモンの快楽から逃れられず、中毒になってしまう人がいるくらいなのです。
2.セロトニン
こちらはリラックスホルモン。激しい運動ではかえってダメですが、一定の緩い運動で分泌されることがわかっています。また、太陽にあたることで促進される別名「お日さまホルモン」。ぽかぽか、のびのび、ゆったりした気分になりそうですよね。
3.βエンドルフィン
最後に、覚醒ホルモンです。ドーパミンよりもさらに強い快楽が得られるといわれます。
これらホルモンの分泌が、ストレス解消につながるわけです。天気のいい日に1時間くらいプラプラ歩いて、なんとなく気分も表情も明るくなる――それもうなずける話です。
体への負担が少なく、続けやすい
ふたつめの理由、それは体への負担が少ないことです。
もちろん負担が少ないということはそれだけ効果が薄いということにもなり、諸刃の剣ではあります。が、チリも積もれば山となる。たった一度のフルマラソンで膝や腰などに故障を抱えて二度と走れなくなるよりは、コツコツと続けられるウォーキングのほうが、長い目で見たら健康面でもダイエット効果でもはるかに優ることがわかります。
また、同じ160cm50kgの人でも、体脂肪28%の人と21%の人では、与える印象がまったく違います。そういう意味でも、ウォーキングで少しでも体脂肪を燃やしたほうがいいに決まっています。
もうひとつ、歩くことで足腰が鍛えられるというメリットもあります。
毎日コツコツ歩いて、いくつになっても自分の脚で歩くことができる――これほど素敵なことはありません。
とくに女性がなりやすいといわれるロコモティブ症候群や骨粗しょう症は、栄養面も大切ですが、毎日のウォーキングで進行を防ぐことができます。
健康でスリムな体、いくつになっても歩ける丈夫でいてすんなりとした脚は、まさにウォーキングだからこそ、手に入れることができるものなのです。
「歩いて痩せる」効果を高める方法
とはいえ、せっかくウォーキングに取り組むなら、少しでも脂肪燃焼効果が高いほうがいいというのは、ダイエッター共通の願いであるはず。考えうる限りの条件をお伝えしますので、以下のことを気をつけながらチャレンジしてみてください。
いつ歩くべきか
ウォーキングに限らず、実はすべての運動は、朝、それも朝食前に行うのが効果的。なぜかというと、朝、人間の体は軽い飢餓状態、つまり低血糖の状態にあるからです。血糖値が低いということは、エネルギーが糖からではなく脂肪からつくられやすい状態にあるということ。つまり、脂肪燃焼の効率がいいということになります。
また、朝の気持ちよい太陽の光をふんだんに浴びることで、先ほどお伝えしたお日さまホルモン=セロトニンが活性化されます。
どのくらい歩くべきか>
では次に、1回のウォーキングで歩くべき量について考えてみましょう。ダイエット都市伝説のひとつで、20分以上継続しないと脂肪が燃えないという話を聞いたことがありませんか? 実はこれは、いまではエビデンスがはっきりしていないと、専門家のあいだでは懐疑的です。実際、体内に備蓄されている脂肪を燃焼するためには、その前に糖が枯渇している必要があるわけですが、それには個人差があります。そのため、一概に「20分」という数字が当てはまるかというと、そうとはいえません。
たとえば、朝10分、昼休み5分、夜10分とコマ切れにあるいた場合と、朝20分歩いた場合では、脂肪燃焼効果、運動の効果としては一緒です。
ただし、20分ということではなく、長時間やればやるほど、エネルギー消費の比率が、糖から脂肪、そして体脂肪へと移っていくことは事実。そういう意味で、ある程度の時間を歩くためのひとつの目安として20分以上と目標を設けるぶんにはいいと思います。取り組みやすい長さでもありますしね。
どのように歩くべきか
背中を丸めてちんたら歩いたのでは、効果も半減、気持ちもスッキリしません。歩きやすい服を着て、きびきびぱっぱと歩いてみましょう!
個人的にはお気に入りのウェアをチョイスすることをオススメします。自分を可愛く、スタイルよくみせてくれることに、女性は敏感。それだけ前向きな気持ちで歩くことができます。
お気に入りのウェアが決まったら、さぁ、背筋をピッと伸ばして、大きめに手を振りながら早足で歩いてみましょう。
「背筋をピッと伸ばす」のは、そうすると、体幹の筋肉を自然に使うことができるから。慣れてきたらお腹に力をきゅっと入れてみて。5年くらい前に流行ったダイエットで「美へそダイエット」「ドローイングダイエット」というものもあります。
これは、お腹に常に力を入れておくことで代謝を上げて、同じ動きでも脂肪燃焼効果を高めるというもの。ウォーキングのときだけでなく、日常生活でも気をつけたいところですね。
次に「大きめに手を振りながら」ですが、このとき、気持ち後ろに大きく引くようにしてみると、うれしい副作用があります。それは、二の腕が引き締まること。体重が落ちたり、痩せたりしても、なかなか引き締まりにくい二の腕、お腹、太もも。とくに二の腕は「振袖」などといわれ、夏など半そでになると目につきやすい箇所でもあります。腕を大きく振ることで脂肪燃焼効果もほんの少し上がりますが、どちらかというと二の腕やせのほうが、ダイエッターにはうれしい効果かもしれません。
3つめの「早足で」。これは単純に運動強度を上げるためです。運動強度とは簡単にいうと、体重に関係なくどれくらいの強度があるかを表したもの。単位はメッツです。実は単にあるくだけだち3.0メッツですが、早歩きだと4.5メッツです。
ちなみに、メッツを使って簡単な消費カロリーの計算もできます。たとえば4.5メッツの運動を体重50キロの人が一時間行うと4.5×50×1.05=236.25kcal消費する、ということになります。ちなみに散歩、3.0メッツでは157.5kcal。積み重ねていけば大きな違いになりそうですね。
そのほかの注意事項は、すべて歩いている姿勢をよくするためですが、「あごは引くこと」「かかとから着地してつま先で地面を蹴りだす」などが挙げられます。
「歩いて痩せる」際の注意点
ウォーキングは、ダイエットはもちろん、健康になるためにするもの。逆に具合が悪くなってしまっては何もなりません。
いちばん気をつけなければならないのは熱中症です。
効果を急ぐあまり、具合が悪くてもムリをしてしまう人もいて、ウォーキング中の熱中症が問題になっています。
キャップをかぶり、ペットボトルの水は必ず持参して。また、日焼け止めはこまめに塗りなおしましょう。
「多少焼けたところでかまわない」という考え方はとても危険。肌が日に焼けて赤くなったり黒くなったりするということは、メラニン色素が精製されるということ。そのぶんだけ、簡単にいったら疲れます。変化はできるだけ最小限に。軽く羽織れるようなものが一枚あればベターです。
ウォーキングダイエットを続けるコツ
最後に、ウォーキングはたった一回長時間を歩いても効果がありません。できれば毎日、コツコツと続けることで、ダイエット、そして健康への効果が望めます。そこで、続けるコツについて、いろいろと考えてみましょう。
コースを変える
3種類から5種類、コースを開発しておきましょう。毎日毎日同じ道を同じ時間帯に歩くことが安心につながるという人はそれでもかまいませんが、飽きやすいタイプだと自覚がある人は、飽きない工夫をしておく必要があります。曜日によって変えたり、たまには違う路地を曲がってみたり、散歩自体を楽しむことができるようになればシメたもの。目的がダイエットだけではなくなれば、それだけ楽しみも増えます。
目的を見つける
●kgやせる! というような目標ではなくて、散歩、ウォーキングの目的を見つけるのもいいでしょう。たとえば落語を1話聞き終わるまでは歩き続けるとか、風景の写真を撮るとか。あるいは目的地まで行ってスケッチする、誰かに会いに行くなどということもあるかもしれません。折り返しの喫茶店でコーヒーを飲むのもいいでしょう。
少しずつ距離や時間を延ばしていく
最初から何時間もかけて何十kmと歩いても、足が痛くなってしまったり、出先で疲れ果ててイヤになってしまったり、はたまた事故にあってしまったりなどしたら、何もなりません。
最初は10分でも15分でもいいので、できる範囲で、気持ちのよい範囲ではじめてみましょう。歩くこと自体が楽しくなったり、もっと先まで歩いてみたくなったりしたら、少しずつ距離や時間を延ばしていく。そうすれば必ず、いい結果につながるはず。
もうひとつ、「脂肪燃焼効果は朝がもっともよい」とお伝えしましたが、これを理由に早朝に設定しても、あまりいいことはありません。とくに低血圧で朝が苦手という人が、無理矢理朝起きて歩いても、体は起きておらず、かえって危険です。生活サイクルもありますから、夜がいいのか、昼休みが使えるのか、夕方帰ってきてからのほうがいいのかはその人しだい。いろいろな時間帯に取り組んでみて、自分の生活スタイルにはいつが合うのかを確認してみる方法もあります。
まとめ: ウォーキングは継続すればダイエット効果あり!痩せて理想的な体を手に入れよう
最後に、ウォーキングは期待するほどのダイエット効果はない、とはいっても、長く続けている人にはスリムでキレイな人が多いのも事実。歩くことによって脚は引き締まりますし、侮れません。歩くことはすべてのスポーツの基本でもあります。ランニングや自転車などのハードなスポーツと違って、歩くことにはそれほど特別な技術はいりません。しっかりと前を向いて、笑顔で、はつらつと歩いてみましょう! うっすら汗をかくくらいの強度で歩けるようになったら、きっといろいろとうれしい変化も確認できるはず。がんばってくださいね!