コンロの上に設置されているレンジフード。掃除しなきゃとは思っても、その大きさや構造の複雑さを考えると、どうしても億劫になってしまいます。そこで今回は、重曹やセスキ炭酸ソーダを活用した簡単なお掃除方法を紹介。この方法を使えば楽に汚れを落とせます。
レンジフードの汚れの原因は油とホコリ
レンジフードは、コンロの上にかぶさるように設置されていて、料理中に発生する煙やにおいなどを外に出す役割を持っています。部屋の空気をきれいに保ってくれるものですが、コンロのすぐ上にあるため、油が非常にはねやすく、さらに、気化した油も全部吸い取ってしまうのです。
はねた油は、熱や光、酸素によって変性し、水飴や樹脂のように固まります。こうなってしまうと、ちょっと拭いたくらいではもうとれません。
さらに、部屋の中の空気を吸い出してくれるため、そのとき一緒に吸いとったホコリもたまりやすくなっています。はねた油を放置しておくと、ほこりが油に付着して固まります。そこにさらに油がはね、さらにほこりがくっついて、というように、汚れがどんどん成長してしまうのです。
汚れを放置しておくと、料理に汚れが入ってしまうことも考えられますし、換気の性能が落ちて電気代がかさむこともあります。ひどい場合は故障してしまうでしょう。さらに、油汚れが原因で火災に発展することもあります。見た目にも悪いものですから、定期的に掃除しましょう。
レンジフードの掃除方法
レンジフードを掃除するには、食器用洗剤やクリーナー、専用洗剤を使うやり方もあります。今回は、より簡単に、そして安全にできるものとして、重曹とセスキ炭酸ソーダを使った方法をご紹介します。
これらを使うと、ただ簡単なだけでなく、洗剤やクリーナーを使うよりも、ずっと確実に汚れを落としてくれるんです。
掃除の事前準備
説明書をよく確認する
レンジフードの掃除をするときには、事前に説明書をよく読んで、パーツの外し方を確認しておきましょう。ドライバーが必要なことが多いので、その場合は用意しておきます。
元に戻すときも、パーツが余ったなんてことがないように、ひとつひとつ確認しながら戻していきましょう。
周りを新聞紙などでカバーする
掃除をしていると、汚れが下に落ちていきます。そのままだとコンロがひどく汚れてしまうので、新聞紙やビニールなどを貼って、カバーしておきましょう。
周囲の壁にも汚れがついてしまうかもしれないので、できれば、前と横の壁にも新聞紙などを貼りつけておきましょう。
重曹で掃除する
重曹は、ベーキングパウダーなどにも使われている安全な物質です。スーパーやホームセンター、100円均一でも購入でき、他の部分の掃除にも役立つので、備えておくと便利です。
水に溶けると弱アルカリ性を示すので、酸性の油汚れにつけると、中和しながら分解してくれます。
掃除する前の事前の準備
【用意するもの】
- 重曹
- 布かスポンジ
- スプレーボトル
- フィルターやプロペラが入る容器(ごみ袋でも可)
- 水かお湯(40~50℃程度)
【必要に応じて用意するもの】
- ゴム手袋(肌が弱い人)
- プラスチックカード
- キッチンペーパー
- ラップ
- 歯ブラシ
- メラミンスポンジ
【重曹スプレーをつくる】
スプレーボトルに、重曹水スプレーをつくります。作り方は、水100mlに対して重曹を小さじ1杯の割合で入れて軽く振って溶かすだけです。
重曹水はそのまま保管しておくことができないので、使いきれる分だけ作りましょう。残ってしまったときは、そのまま流しに捨てることができます。また、同じように油汚れがついた場所の掃除に使ってもよいでしょう。
高温のお湯を使うと重曹が変性してしまいます。危険なので、高くても50℃くらいのお湯を使いましょう。
掃除方法・手順
レンジフードの掃除は、外せるものは外して浸け置き洗い、外せない部分は重曹水スプレーを使って拭き掃除をします。重曹を付けた部分は放っておくと白く跡が残ってしまうので、水洗いや水ぶきを必ずしましょう。
浸け置きをしている間に拭き掃除をすれば、効率的に行えます。
【外せるパーツ】
- 外せるパーツを全て外し、容器に入れる
- 容器の中に重曹1カップを入れる
- パーツが全て浸るくらいまで水かお湯を入れる
- 1時間ほど放置する
- 重曹水を捨て、パーツを水でよく洗う
- 落ちにくい汚れはスポンジや歯ブラシを使ってこすり洗いをする
- 布でしっかり水をふき取って完了
【外せない部分】
- 重曹水スプレーを吹きかけた布で拭き掃除をする
- 水で濡らして絞った布で仕上げ拭きをする
これでも落ちない汚れは、次の方法を試してみましょう。
- まずプラスチックカードで汚れをこそげ落とす
- 重曹水をしみこませたキッチンペーパーでパックをする
- 乾燥しないようにラップをする
- 1時間ほど放置する
- ラップとキッチンペーパーをはがす
- そのままキッチンペーパーで拭き掃除をする(重曹水を吹きかけた布でもOK)
- 落ちにくい汚れは歯ブラシやプラスチックカード、メラミンスポンジで落とす
- 水で濡らして絞った布で仕上げ拭きをする
たわしなどを使うと表面を傷つけてしまうので、失効した免許証やいらないポイントカードなどのプラスチックカードを使って、表面をこそげ落とすようにします。
パックは、キッチンペーパーに重曹水を浸けてから貼ってもよいですが、キッチンペーパーをレンジフードの表面に当てた状態でスプレーすると簡単ですし、液だれを防ぐことができます。
重曹パックをすることで、油汚れに重曹がしっかり密着し、分解してくれます。これで、大抵の汚れはきれいに落とせるでしょう。
頑固な汚れはセスキ炭酸ソーダで掃除する
セスキ炭酸ソーダも重曹と同じく、スーパーやホームセンター、110円均一などで購入できるものです。入浴剤などにも使われていて、安全な物質といえます。セスキ炭酸ソーダは重曹よりもアルカリ性が強く、油汚れに対してより高い効果を発揮します。
一方で、アルカリ性が強いため、手につくとたんぱく質が溶けてぬるぬるしたり、手荒れの原因になったりすることがあります。使うときには必ずゴム手袋をしましょう。
掃除する前の事前の準備
【用意するもの】
- セスキ炭酸ソーダ
- 布かスポンジ
- スプレーボトル
- フィルターやプロペラが入る容器(ごみ袋でも可)
- 水かお湯(40~50℃程度)
- ゴム手袋
【必要に応じて用意するもの】
- プラスチックカード
- キッチンペーパー
- ラップ
- 歯ブラシ
- メラミンスポンジ
【セスキ炭酸ソーダスプレーをつくる】
スプレーボトルに、セスキ水スプレーをつくります。混ぜる割合は、水500mlに対してセスキ炭酸ソーダを小さじ1杯です。
セスキ水はそのまま保存できます。重曹と同じく他の油汚れにもよく効くので、コンロ周りなどの掃除に使ってもよいでしょう。季節によって違いがありますが、1~2週間が目安です。使い切れなかった分は流しに捨てられます。
掃除方法・手順
掃除の手順は、重曹を使った場合と同じです。外せるパーツは浸け置き洗いをし、それ以外はセスキスプレーで拭き掃除をします。ただ、使う量は重曹よりもセスキ炭酸ソーダの方がずっと少量です。あまり濃度を上げてしまうと危険なこともあるので、使用量には注意してください。
【外せるパーツ】
- 外せるパーツを全て外し、容器に入れる
- 容器の中にセスキ炭酸ソーダ大さじ2を入れる
- パーツが全て浸るくらいまで水かお湯を入れる
- 1時間ほど放置する
- セスキ水を捨て、パーツを水でよく洗う
- 落ちにくい汚れはスポンジや歯ブラシを使ってこすり洗いをする
- 布でしっかり水をふき取って完了
【外せない部分】
- セスキ水スプレーを吹きかけた布で拭き掃除をする
- 水で濡らして絞った布で仕上げ拭きをする
これでも落ちない汚れは、次の方法を試してみましょう。
- まずプラスチックカードで汚れをこそげ落とす
- セスキ水をしみこませたキッチンペーパーでパックをする
- 乾燥しないようにラップをする
- 1時間ほど放置する
- ラップとキッチンペーパーをはがす
- そのままキッチンペーパーで拭き掃除をする(セスキ水を吹きかけた布でもOK)
- 落ちにくい汚れは歯ブラシやプラスチックカード、メラミンスポンジで落とす
- 水で濡らして絞った布で仕上げ拭きをする
重曹で落ちなかった頑固な汚れでも、セスキ炭酸ソーダを使えば楽々落とせます。
ただ、手につくとたんぱく質が溶けてぬるぬるする、あるいは、濃度の高いものが目や口に入ると危険なこともあります。
目に入ってしまったらすぐに洗い、飲んでしまった場合は生卵かコップ一杯の牛乳、どちらもなければ大量の水を飲みましょう。少しの量なら害はありませんが、もし痛みや体調不良が続くようであれば、病院にかかった方がよいでしょう。
レンジフードを汚れにくくする方法
一度きれいにしたら、できるだけその状態を保っておきたいですよね。レンジフードの汚れを防ぐ方法を3つ紹介します。
レンジフードにカバーをつける
換気扇の内部が汚れないようにフィルターがついていますが、このフィルターそのものの汚れもやっかいです。ですから、フィルターの上にさらにカバーをつけてしまいましょう。
カバーは、「レンジフードカバー」や「換気扇フィルター」、「油汚れ防止カバー」といった名前で販売されています。レンジフードの大きさに合わせてカットできるものもあるので、自分の家のレンジフードの大きさに合わせて選びましょう。
レンジフードの外側をリンスでコーティング!?
リンスには界面活性剤が含まれているので、油汚れを防いでくれる効果があります。コーティングをしておくだけで、ギトギトの油汚れが付きづらくなるのです。掃除をしたタイミングで試してみてください。
やり方は、まずきれいな布にリンスをしみこませます。あとは、レンジフードの表面に薄く伸ばすように拭くだけです。
調理の10分ほど前から換気扇を回しておく
調理の前から換気扇を回しておくことで、空気の流れが生まれます。しっかりと換気できる状態にしておくことで、気化した油が留まることなく、外に出ていってくれます。
まとめ:レンジフードは1年に1度はお掃除を!
レンジフードはキッチンの中でも特に掃除の億劫な部分。しかし、放置すればするほど汚れはたまっていく一方です。毎日料理する人なら1年に1度、揚げ物の頻度が高ければ、半年に1度は掃除をしましょう。
また、次のような項目にあてはまる場合は、自力で掃除をするより、業者に頼んだ方が確実です。
毎日料理する人で、3年以上掃除をしていない
重曹やセスキ炭酸ソーダを使っても汚れが落ち切らない
パーツの分解や組み立てに自信がない
とにかく面倒臭い
レンジフードは目に見えない内部にまで汚れがたまってしまうため、3年以上掃除をしていない場合は、一度、業者の手で徹底的に掃除をしてもらった方がいいでしょう。
汚れがたまったままだと、汚いだけでなく、故障や火事などの危険もあります。すっきりきれいなレンジフードで、安全で清潔なキッチンにしましょう。