1.仏壇を汚す主な原因
日々目にしていながらも、なかなかお掃除する機会が少ない仏壇。実は、毎日のお参りや法要のお線香などによって意外と汚れが溜まっています。
そんな仏壇をキレイにするために、まずは仏壇の汚れの正体を把握することからはじめましょう。
ホコリ
仏壇はほとんど動かすことがありません。そのため、上部や裏にホコリが溜まります。また、細かい装飾の施された欄間などもホコリが溜まりやすい場所です。
ろうそくや線香のスス
仏壇では、ろうそくやお線香を使うことが日常的。そのため、天井部分にはススが溜まりやすくなります。ろうそくやお線香の煙には粘り気があるため、ススが付着したまま放置すると換気扇についた油汚れのようにやっかいな汚れとなってしまいます。
また、ろうそくのロウやお線香のカスも汚れが溜まる原因のひとつ。
お供え物のカス
毎日お供えするお食事、お供えしているお花の花粉や葉っぱのカスなどによって汚れてしまいます。お供えしたお食事や果物などカスを放置していると、カビが発生してしまう場合もあります。
仏壇掃除の予備知識と注意点
つづいて、仏壇をお掃除する際の予備知識と注意点について。少し細かいですが、知っているとより効率よく、よりピカピカに、より気持ちよくお掃除できますよ。
金仏壇と唐木仏壇について
仏壇にはさまざまな種類がありますが、その中でも大きく伝統的な仏壇には、「金仏壇」と「唐木仏壇」の2つがあります。
「金仏壇」は金箔や金粉で装飾されており、多くの場合、漆塗りされた仏壇のこと。
「唐木仏壇」は黒檀(こくたん)や紫檀(したん)などの銘木で作られた仏壇のこと。
仏壇の種類によって、お掃除方法や注意事項が変わります。お掃除をはじめる前に、ご家庭の仏壇がどちらのものかを事前に確認しておきましょう。
基本的に水拭きNG
仏壇のお掃除は基本的に水拭きをしてはいけません。「金仏壇」は、水拭きすることによって装飾された金が剥がれたりサビたりしてしまうことがあります。また、木でできている「唐木仏壇」も、水拭きするとカビが発生しやすくなってしまいます。
仏壇掃除の基本は「①ほこりを払う・②拭く・③磨く」。その際に、水拭きしないよう注意しましょう。
筆、洗剤などのお掃除道具について
仏壇をキレイにするためには、お掃除アイテムを揃える必要があります。準備しておきたいアイテム・あると便利なアイテムは以下のとおり。
- 毛払い(羽根ばたき)…ホコリを払うための必需品。
- 仏壇掃除用の筆…装飾など細かな部分や仏具のホコリを払うための必須アイテム。仏具店などで購入することができます。
- 白手袋…仏壇に指紋や汗をつけることは絶対にNG。素手で触らないように、必ず白手袋をはめてお掃除します。
- 新聞紙…仏壇の中から取り出した仏具を置く際に活躍します。
- やわらかい布(仏壇用のものやメガネクロスなど)…拭き掃除の必須アイテムです。無ければ下記のTシャツや肌着でOK。
- 使い古したTシャツや肌着…タオルより毛羽立たないため、仏壇の汚れを落とすのに最適。綿100%の肌着がオススメです。
- 使い捨ての化学繊維ぞうきん(サッサなど)…布だけではどうしても汚れが落ちない場合、あると便利なアイテムです。
- 綿棒…細かい場所の汚れを取るのにあると便利。
- 仏壇クリーム(またはスプレー)…仏壇の汚れを落としてツヤを出すためのアイテム。仏壇のほか、ピアノや木製家具全般のツヤ出しにも使えます。
- 金属磨き…扉の丁番など、仏壇の金属部分を磨くのに便利なアイテム。仏具店で購入することができます。
- ロウ取り用スプレー…火立や経机に落ちたロウを落とすのに便利なアイテム。仏具店で購入することができます。
天気のよい日は仏壇のお掃除日和
仏壇のお掃除は、できるだけカラッと晴れた天気のよい日に行うようにしましょう。雨の日やジメジメとした日にお掃除すると、仏壇に湿気が残ってカビが発生しやすくなってしまいます。
天気の良い日は、絶好の仏壇掃除日和です。
お掃除の前にお断りをする
仏壇のお掃除をするときは、はじめる前にご本尊様とご先祖様に対してお断りをしましょう。パタパタと黙ってお掃除をはじめることは、失礼にあたります。
普段お参りするときと同じように、お線香をあげて手を合わせ、「今から心を込めて仏壇をお掃除させていただきます」とお断りをいれましょう。
大掃除前の準備と注意点
彼岸やお盆、彼岸前など、仏壇を本格的に大掃除する場合は、いくつか注意点があります。
はじめる前に写真を撮っておく
毎日見ている仏壇でも、仏具を取り出して元に戻そうとすると、どこに何を置けばよいのか意外と迷ってしまうもの。元の位置に戻せるよう、お掃除をはじめる前に仏壇の写真を撮っておきましょう。
マスク、手袋をつける
湿気はカビの原因となります。湿気を含んだ息がかかって仏壇が傷んでしまうのを防ぐために、必ずマスクを着用しましょう。また、仏壇を素手で触ると指紋の跡がついて汚れてしまいます。直接触れることがないよう、手袋をはめてお掃除してください。
高い場所を掃除する際は足場を確保
仏壇の上部など、普段手の届かない高い場所をお掃除する際には、しっかりと安定した足場を確保してください。ガタガタとした不安定な状態でお掃除すると、イスや踏み台が倒れてケガをしたり、仏壇を破損してしまう危険性があります。お掃除をはじめる前に、安全確認をしましょう。
金仏壇の掃除方法
金箔や漆塗りで仕上げられた「金仏壇」のお掃除方法からみていきましょう。
金仏壇をお掃除する際のポイントは、金箔や金粉、金装飾などの金の部分に触れないこと。剥がれてしまう可能性がありますので、漆塗りの部分のみを丁寧にお掃除していきましょう。
それでは、日常的なお手入れ方法から本格的なお掃除方法まで、徹底解説していきます!
普段のお手入れ
普段から日常的にお手入れすることで、仏壇をより長持ちさせることができます。また、大掃除をするときの手間もググっと減らすことができますよ。毎日ご飯やお茶を差し上げるのと一緒に簡単なお掃除を習慣にしてしまいましょう!
- 仏壇用の毛払い(羽根ばたき)
- 仏壇用のやわらかい布
- 白手袋
- ご本尊様とご先祖様に、お掃除することをお断りします。
- 白手袋をはめ、毛払いを使って漆部分のホコリを払います。
- やわらかい布で漆部分をやさしく拭きます。
- ご本尊様とご先祖様に、お掃除が終わったことをお伝えします。
手を合わせるときに軽くホコリを払うなど、負担にならない範囲でお掃除することが長く続けるポイントです。毎日のお手入れが理想的ですが、週に1回、数日に1回とムリのないように習慣づけていきましょう。
年末やお彼岸前の大掃除
年末やお彼岸、お盆前など、年に数回は仏具を取り出して本格的にお掃除しましょう。お掃除のポイントは、金色の部分に触れないことと水拭きをしないことです。
- 仏壇掃除用の筆
- 仏壇用のやわらかい布
- 化学繊維ぞうきん
- 新聞紙
- 白手袋
- マスク
- ご本尊様とご先祖様に、お掃除することをお断りします。
- 全体の写真を撮っておきます。
- 指紋や手垢をつけないよう、必ず白手袋をします。
- 床や畳に新聞紙を広げ、金箔の部分に触れないよう注意しながら仏具を外に取り出します。
- 仏壇掃除用の筆で、漆塗りの部分(黒い部分)のホコリを「上から下へ」と払います。
- 汚れている場合は、仏壇用のやわらかい布で拭きます。ひどい汚れの場合は、化学繊維ぞうきんを使ってやさしく拭きましょう。
- ②で撮った写真を確認しながら、仏具を元に戻します。
- ご本尊様とご先祖様に、お掃除が終わったことをお伝えします。
取り出すのは位牌(いはい)・仏飯機(ぶっぱんき)・火立(ひたて:ローソクを立てる器)・鈴(りん)・香炉…といった簡単に移動できるもののみ。吊灯籠(つりどうろう)や金灯篭(かなとうろう)、瓔珞(ようらく:天井から吊るされた飾り)などの取り外しが難しいものはムリに外さないでください。
お掃除できる場所は少ない金仏壇ですが、金箔などの部分に触れないよう慎重に行う必要があります。金仏壇の場合、傷をつけてしまうと修理に高額の費用がかかってしまいますので、「丁寧に慎重に」を心がけてお掃除しましょう。
唐木仏壇の掃除方法
つづいて、黒檀や紫檀などの木目を活かしてつくられた「唐木仏壇」のお掃除方法をみていきましょう。
唐木仏壇をお掃除する際のポイントは、お掃除アイテムをしっかり揃えること。唐木仏壇の大掃除は少々手間と時間がかかります。数日かけても問題ないので、ゆっくり丁寧にお掃除していきましょう。ちなみに、金仏壇同様、水拭きはしないでくださいね。
それでは、日常的なお手入れ方法から本格的なお掃除方法まで、徹底解説していきます!
普段のお手入れ
普段から日常的にお手入れすることで、仏壇をより長持ちさせることができます。唐木仏壇はほぼ全体がお掃除できるので、金仏壇と比べて手間はかかりますが、普段のお手入れの基本は「ホコリを払って、軽く拭く」こと。毎日お参りをするのと一緒に簡単なお掃除を習慣にしてしまいましょう!
- 仏壇用の毛払い(羽根ばたき)
- 仏壇用のやわらかい布
- 化学繊維ぞうきん
- 白手袋
- ご本尊様とご先祖様に、お掃除することをお断りします。
- 白手袋をはめ、毛払いを使ってホコリを払います。
- やわらかい布で全体を軽く拭きます。
- 汚れが目立つ場合は、化学繊維ぞうきんを使って丁寧に拭きます。
- ご本尊様とご先祖様に、お掃除が終わったことをお伝えします。
化学繊維ぞうきんを使用する場合は、ムリに汚れを落とそうとせず、やさしく拭くようにしてください。毎日のお手入れが理想的ですが、週に1回、数日に1回とムリのないように習慣づけていきましょう。
年末やお彼岸前の大掃除
年末やお彼岸、お盆前など、年に数回は仏具を取り出して本格的にお掃除しましょう。お掃除のポイントは、お掃除アイテムを準備しておくこと。お近くの仏具店などで揃えることができますので事前に確認しておきましょう。
- 仏壇掃除用の筆
- 仏壇用の毛払い(羽根ばたき)
- 化学繊維ぞうきん
- 仏壇用のやわらかい布
- 使い古しのTシャツや肌着
- 仏壇クリーム(またはスプレー)
- 金属磨き
- 新聞紙
- 白手袋
- マスク
- 綿棒
- ロウ取り用スプレー
- ご本尊様とご先祖様に、お掃除することをお断りします。
- 全体の写真を撮っておきます。
- 指紋や手垢をつけないよう、必ず白手袋をします。
- 床や畳に新聞紙を広げ、仏具を外に取り出します。
- 全体のホコリを払います。高い部分は「毛払い」で、手の届く部分や装飾の細かい部分などは「仏壇掃除用の筆」で「上から下へ」とやさしく払っていきましょう。
取り出すのは位牌(いはい)・仏飯機(ぶっぱんき)・火立(ひたて:ローソクを立てる器)・鈴(りん)・香炉…といった簡単に移動できるもののみ。吊灯籠(つりどうろう)や金灯篭(かなとうろう)、瓔珞(ようらく:天井から吊るされた飾り)などの取り外しが難しいものはムリに外さないでください。
【上置き部分のお掃除方法】
欄間や勾欄などの細かい装飾部分
繊細な装飾を破損することないよう、仏壇用の毛払いや筆で丁寧にホコリや汚れを払いましょう。
平面部分> 乾拭き→ツヤ出し→乾拭き
やわらかい布で乾拭きし、汚れが目立つ場所は化学繊維ぞうきんで拭きとります。
仏壇の汚れ防止とツヤ出しのため、仏壇クリームを使い古したTシャツにとり、やさしく磨きます。
最後にやわらかい布で軽く乾拭きします。
【下置き部分(引き出し部分など)のお掃除方法】
やわらかい布で乾拭きし、汚れが目立つ場所や引き出しの中は化学繊維ぞうきんで軽く拭きます。
仏壇の汚れ防止とツヤ出しのため、仏壇クリームを使い古したTシャツにとり、やさしく磨きます。
最後にやわらかい布で軽く乾拭きします。
障子・大戸のお掃除方法
内側の障子の部分は破れやすいので、仏壇用の筆でやさしくホコリを払います。
大戸(外側の扉)の部分は、やわらかい布で乾拭きし、汚れが目立つ場所や引き出しの中は化学繊維ぞうきんで軽く拭きます。その後、仏壇クリームやスプレーを使い古したTシャツにとり、やさしく磨き、乾拭きで仕上げます。ただし、細かい装飾が施されている場合は筆でホコリを払う程度にしましょう。
最後にやわらかい布で軽く乾拭きします。
取っ手などの金属部分
しっかりとした金属部分は金属磨きを使い古したTシャツにとり、やさしく磨きます。
②で撮った写真を確認しながら、仏具を元に戻します。
ご本尊様とご先祖様に、お掃除が終わったことをお伝えします。
細かい装飾が施されている箇所は、綿棒を使ってホコリを払ったり、仏壇クリームでツヤ出しをすることもできます。ただし、とてもデリケートなため力を入れすぎると破損してしまうことも。心配な場合は、ムリをせず、毛払いや筆でホコリを落とす程度にしましょう。
また、火立や経机にロウが落ちて汚れている場合は、ロウ取り用スプレーを使って落としてください。
仏壇を汚れにくくするには?
ほとんどが木で作られている仏壇にとって湿気は大敵。湿気によってカビが発生すると仏壇が傷んでしまいます。湿気対策をしっかりとして、大切な仏壇を守りましょう。
また、日常的に毛払いでホコリを払う、指紋や皮脂をつけないようにするなど、普段から汚れを溜めないようにすることも大切です。
まとめ:日常的なお手入れと年に数回の大掃除で大切な仏壇をピカピカに
ご先祖様をお祀り、ご先祖様と対話をするための大切な仏壇。
日々お手入れをすることでより長持ちさせることができます。ホコリを払ったり汚れを拭いたりといった簡単なお掃除を、毎日のお参りと一緒にぜひ習慣にしてしまいましょう。
また、年末やお彼岸、お盆前など季節の行事に合わせて年数回の本格的な大掃除をすると、ピカピカな状態を保つことができます。
ご先祖様への感謝の気持ちを込めて、早速お掃除してみてくださいね。
金仏壇を自分でお掃除するのが心配、どうしても落ちない汚れがあるといった場合は、ムリをせずに仏壇掃除の専門業者に依頼するのもオススメです。仏壇のすみずみまでキレイにしてもらえるので、とても気持ちがよいものですよ。