ブロードウェイのミュージカル舞台を原作とした名作ミュージカルは、今も色あせない!新旧の大ヒット&ロングランした舞台を原作としたミュージカル映画を年代順にまとめてみました。舞台も映画も傑作と言われる、誰もが認める名作を一度はすべて観てみたいですね。ぜひ参考にして秋の夜長にたっぷり楽しんでください!
目次
1)王様と私(1956)
19世紀のタイ(シャム)王国で、ラーマ4世国王の教育係として雇われた英国夫人のアンナ・レオノーウェンズが、西洋と東洋二つの文化の違いに葛藤しつつも、お互いに理解し合い惹かれていく様子を描いています。
《スタッフ・キャスト》
【監督】ウォルター・ラング
【主演】ユル・ブリンナー、デボラ・カー
【原作】マーガレット・ランドン「Anne and the King of Siam」(1944)
【音楽】リチャード・ロジャース&オスカー・ハマースタイン2世、アルフレッド・ニューマン
《舞台版・サントラ》
1951年に初演し、3年間で1246公演のロングランを記録しました!初演から王様役を務めてきたユル・ブリンナーは、生涯4625回の主演公演を行っています。1952年にはトニー賞で作品賞や主演女優賞など5部門を受賞しています。
2015年の今年、舞台で再演され、王様役を演じた渡辺謙がトニー賞で主演男優賞を日本人初ノミネートされました!ミュージカル・リバイバル作品賞を受賞しています。
↓こちらのサントラは、2015年版のキャストで新録音されたものです。
2)ウエスト・サイド物語(1961)
ニューヨークのダウンタウンを舞台に、ポーランド系の非行グループ「ジェット団」とプエルトリコ系の非行グループ「シャーク団」の対立と、その間で揺れ動く男女の恋を描いています。
原案はシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」から着想を得ており、当時のニューヨークの社会的背景を取り入れています。
《スタッフ・キャスト》
【監督】ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンス(舞台版監督)
【主演】ナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー
【原作】ジェローム・ロビンス、アーサー・ローレンツ(舞台版脚本)
【音楽】レナード・バーンスタイン
《舞台版・サントラ》
1957年に初演し、732公演の後ツアーを行い、1960年には253公演を行っています。この年のトニー賞最優秀振付賞を映画版で監督を務めたジェローム・ロビンスが受賞しています。
1960年代には世界各地で公演を行い、1980年には再びブロードウェイでリバイバル公演が行われました。
1957年にブロードウェイのオリジナルキャストでの録音が行われ、映画版のサウンドトラックも1961年に発表されています。↓こちらは映画版のサントラで、映画同様、空前の大ヒットとなりました。
3)マイ・フェア・レディ(1964)
身分階級の文化が残るイギリスを舞台に、下町生まれの訛りのひどい花売り娘のイライザが、言語学者のヒギンズ教授によって立派なレディに生まれ変わるまでをコミカルに描いています。
原作はジョージ・バーナード・ショウの戯曲「ピグマリオン」で、実はミュージカル化には否定的だったといいます。
《スタッフ・キャスト》
【監督】ジョージ・キューカー
【原作】ジョージ・バーナード・ショウ「ピグマリオン」(1913)
【主演】オードリー・ヘプバーン、レックス・ハリソン
【音楽】アンドレ・プレヴィン
《舞台版・サントラ》
1956年に初演し、7年半の間に2717公演を重ね、大ヒットロングラン公演となりました。トニー賞主演男優賞と最優秀ミュージカル賞など8部門で受賞しています。
初演時のキャストであるレックス・ハリソンが映画版でもヒギンズ教授を演じ、舞台版のイライザはジュリー・アンドリュースが演じていました。
↓こちらの映画版サントラは、映画封切から30周年を記念して1995年に発売された新サントラ盤です。従来のものより11曲多く収録しています。
4)屋根の上のバイオリン弾き(1971)
帝政ロシア領となったウクライナ地方のアナテフカで牛乳屋を営むユダヤ人一家の生活と“ポグロム”と呼ばれたユダヤ人排斥の様子を描いたミュージカル作品です。
原作はショーレム・アレイヘムの短編「牛乳屋テヴィエ」で、19世紀末のユダヤ人コミュニティ「シュテットル」の様子が詳しく描かれています。
《スタッフ・キャスト》
【監督】ノーマン・ジュイソン
【原作】ショーレム・アレイヘム「牛乳屋テヴィエ」(1894)
【主演】トポル、ノーマ・クレイン、ロザリンド・ハリス
【音楽】ジェリー・ボック
《舞台版・サントラ》
1964年に初演し、1972年までの7年9ヵ月で3242公演を行うロングランとなりました。
日本でも人気の舞台で、1967年から2013年に至るまで、テヴィエ役は森繁久彌、上條恒彦、西田敏行、市村正親と4人の俳優で演じられてきました。
↓こちらのサントラは映画版30周年バージョンで、2001年に発売されたものです。ジョン・ウィリアムスによるインスト楽曲とアイザック・スターンによるヴァイオリンの音色の素晴らしさをぜひサントラで!
5)キャバレー(1971)
1930年代のナチス台頭前夜のベルリンのキャバレーを舞台に、スター歌手にあこがれる少女と二人の男性との三角関係を描いています。
主役のライザ・ミネリとキャバレーを取り仕切るMC役のジョエル・グレイのパフォーマンスが素晴らしい作品で、二人はこの演技でそれぞれアカデミー賞主演女優賞と助演男優賞を受賞しています。
《スタッフ・キャスト》
【監督】ボブ・フォッシー
【脚本】ジェイ・プレッソン・アレン、ヒュー・ホイーラー
【主演】ライザ・ミネリ、マイケル・ヨーク
【音楽】ジョン・カンダー、ラルフ・バーンズ
《舞台版・サントラ》
1966年に初演し、2年10ヵ月のロングラン公演となりました。この年のトニー賞で最優秀ミュージカル賞、映画版でもMC役を演じたジョエル・グレイがミュージカル部門最優秀助演男優賞を受賞しています。
また1998年には、伝説のクラブ「Studio 54」をキャバレー風に改装した劇場でリバイバル公演が行われ、5年10ヵ月のロングラン公演となりました。
↓こちらが映画版のサントラで、やはりライザ・ミネリとジョエル・グレイの歌声は素晴らしく、特にトラック7の♪お金が廻してる、世界を廻してるや、テーマ曲の♪キャバレーはおすすめです!
6)コーラスライン(1985)
ニューヨークのブロードウェイを舞台に、新作のオーディションに集まったダンサーたちの舞台にかける情熱と人間模様を描いたミュージカル映画です。
最終選考に残った8人の人生が、オーディションと本番に向けての稽古の間に交錯します。これぞブロードウェイ!というシーンを満喫できる一本です。
《スタッフ・キャスト》
【監督】リチャード・アッテンボロー
【原作】マイケル・ベネット(舞台版原案・振付・演出)
【主演】マイケル・ダグラス、アリソン・リード
【音楽】エドワード・クレバン、マーヴィン・ハムリッシュ
《舞台版・サントラ》
1975年に初演し、1990年の千秋楽までに6137回というロングラン公演を行いました。ブロードウェイでは「CATS」に抜かれるまでは最長ロングラン記録を持っていました!
2006年にもブロードウェイで再演されました。そのオーディションの様子を撮影した映画「ブロードウェイ♪ブロードウェイ~コーラスラインにかける夢~」が2008年に公開されています。
↓こちらは1985年映画版のサントラで、おすすめは日本でもCMで使用されている代表曲♪Oneです。
7)シカゴ(2002)
1920年代のシカゴで、ボードヴィルスターを夢見る女性が殺人事件を起こし、刑務所や法廷を舞台に周りの人々を手玉に取る様子を描いたシニカルなミュージカル作品です。
1980~90年代のアメリカでのブロードウェイミュージカルやミュージカル映画の低迷から脱却するきっかけを与えるほど、大ヒットした映画です。アカデミー賞作品賞・助演女優賞など6部門を受賞しています。
《スタッフ・キャスト》
【監督】ロブ・マーシャル
【原作】ボブ・フォッシー(舞台版脚本・振付)
【主演】レニー・ゼルウィガー、リチャード・ギア、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
【音楽】ジョン・カンダー、ダニー・エルフマン
《舞台版・サントラ》
1975年に初演し、1977年までに936公演を行いました。1996年には再演され、7300回以上を上演し、再演ミュージカル作品では最長ロングラン記録を持っています。初演よりも再演の方が評価が高く、観客がセレブリティ犯罪者などシビアな内容を受け入れらる時代になっていたこともロングラン公演につながったようです。
↓こちらは映画版のサントラで、すべての楽曲を主演役者たち本人が歌っています。レニー・ゼルウィガーやキャサリン・ゼタ=ジョーンズ、リチャード・ギアの歌声は聴きごたえ十分です!
8)オペラ座の怪人(2004)
19世紀末のパリのオペラ座を舞台に、若手女優クリスティーヌに恋するオペラ座の地下に住む“ファントム”エリックと、「オペラ座の怪人」の謎を追うクリスティーヌの恋人との戦いを描いたミュージカル作品です。
ガストン・ルルー原作の小説「オペラ座の怪人」は今までに9回も映画化されていますが、2004年度版は1986年に初演されたアンドリュー・ロイド・ウェーバーによるミュージカル舞台を原作とした作品です。
《スタッフ・キャスト》
【監督】ジョエル・シュマッカー
【原作】ガストン・ルルー
【脚本】ジョエル・シュマッカー、アンドリュー・ロイド・ウェバー
【主演】ジェラルド・バトラー、エミー・ロッサム
【音楽】アンドリュー・ロイド・ウェバー
《舞台版・サントラ》
ロンドンのウエストエンドでは1986年に初演、ニューヨークのブロードウェイでも1988年に初演され、どちらも史上最長のロングラン公演記録を現在も更新し続ける大ヒットミュージカルとなっています。ウエストエンドとブロードウェイ両方とも、主演キャストはオペラ座の怪人=マイケル・クロフォード、クリスティーヌ=サラ・ブライトマンです。
またその後も世界各国でも上映され、日本でも劇団四季により現在に至るまで各地で上映され続けています。
↓こちらは映画版のサントラで、フィギュアスケート・グランプリファイナル2014で優勝した羽生結弦選手が、フリーの演技で“ファントム”として楽曲を使用したことで、このサントラを購入する人が増えてきているようです!
9)マンマ・ミーア!(2008)
ギリシャのエーゲ海に浮かぶ島にあるホテルを舞台に、ホテルのオーナー母娘を中心に人間模様を描いたジュークボックス・ミュージカルの代表作の映画化作品です。
ジュークボックス・ミュージカルとは、既存の楽曲を使用したミュージカル作品のことで、この作品ではABBAのヒット曲を22曲も使って構成されています。
《スタッフ・キャスト》
【監督】フィリダ・ロイド
【原作・脚本】キャサリン・ジョンソン
【主演】メリル・ストリープ、アマンダ・サイフリッド
【音楽】スティッグ・アンダーソン、ベニー・アンダーソン、ビョルン・ウルヴァース
《舞台版・サントラ》
1999年にロンドンで初演し、2015年4月には16年を超えました。世界10都市でも公演されています。
2001年にはニューヨークのブロードウェイでも初演され、2015年9月の千秋楽を迎えますが、ブロードウェイ史上8番目のロングラン公演記録を残しています。
↓こちらのサントラは映画版のもので、映画キャストの歌声が収録されています。表題曲♪マンマ・ミーアや♪ダンシング・クイーンなど選りすぐりの楽曲17曲が収録されていて、ABBAのベストアルバムのような構成になっています。
10)レ・ミゼラブル(2012)
ヴィクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」を原作としたミュージカル舞台の映画化作品で、ナポレオン死後のフランス激動の時代の中で、一本のパンを盗んだ罪で19年投獄されいたジャン・バルジャンの波乱の生涯を描いています。
この作品は1985年にロンドンで初演されて以来ロングランを続けている舞台の完全映画化で、アカデミー賞ではアン・ハサウェイが助演女優賞を受賞しています。
《スタッフ・キャスト》
【監督】トム・フーパー
【原作】小説:ヴィクトル・ユゴー、ミュージカル:アラン・ブーブリル、クロード・ミシェル・シェーンベルク
【主演】ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・サイフリッド
【音楽】クロード・ミシェル・シェーンベルク
《舞台版・サントラ》
1980年にパリで初演され、1985年にはロンドン公演、1987年にはブロードウェイで公演が始まりました。以降、ロンドン公演は現在もロングラン上演が続いており、ブロードウェイでは2003年までの16年間で6680回のロングラン公演が行われました。
トニー賞ではミュージカル作品賞、脚本賞、オリジナル楽曲賞を受賞しています。
↓こちらのサントラは2012年映画版のもので、二枚組のデラックス仕様となっています。映画でのキャストたちの生の歌声がたっぷり聴ける内容です!
11)アニー(2014)
現代のニューヨークを舞台に、両親が必ず迎えに来てくれると信じて待っている少女アニーと、彼女を施設から引き取った地位も名誉もある男性スタックスとの出会いと、二人が強い絆を築くまでを描いたミュージカル作品です。
今まで3回も映画化されてきた作品ですが、今作は現代版にアニーをアレンジしており、かなり強気なアニーをクヮヴェンジャネ・ウォレスが演じています。ウィル・スミスとジェイ・Zがプロデューサーとなったことでも話題になりました!
《スタッフ・キャスト》
【監督】ウィル・グラック
【原作】トーマス・ミーハン
【主演】ジェイミー・フォックス、クヮヴェンジャネ・ウォレス
【音楽】グレッグ・クスティン
《舞台版・サントラ》
ハロルド・グレイの新聞連載漫画「小さな孤児アニー」を原作としたミュージカル舞台で、1977年にブロードウェイ初演、1978年にウエストエンド初演、同年から全米ツアーと日本での公演が始まりました。ブロードウェイでは20周年公演として1997年に、そして2012年に再演しています。
トニー賞ではミュージカル作品賞、オリジナル楽曲賞、ミュージカル脚本賞を受賞しています。
↓このサントラは映画版のもので、シーアの新曲やベックとのデュエット曲が新録されている他、新アレンジされた従来の楽曲も収録されています。ミュージカル初出演のキャメロン・ディアスの歌声も聴きどころです!