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レオナルド・ディカプリオが実在の人物を演じた映画作品9選

映画デビュー間もない1993年に立て続けに出演した「ボーイズ・ライフ」と「ギルバート・グレイプ」でその演技を評価されて以来、アカデミー賞では度々オスカーを逃してきたレオナルド・ディカプリオ。今年度第88回アカデミー賞で最新作「レヴェナント:蘇えりし者」の極限の演技により、ついに悲願の主演男優賞を受賞しました!新作鑑賞前にぜひ、ディカプリオが実在の人物を演じた旧作のおさらいをしておきましょう!

①ボーイズ・ライフ(1993)

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アメリカの作家トバイアス・ウルフの強烈な少年期を綴った自伝小説を映画化!

マイケル・ケイトン=ジョーンズ監督による伝記映画・ヒューマンドラマで、原作はアメリカの作家トバイアス・ウルフの「This Boys Life」です。
ドバイアス・ウルフの少年時代を描いた作品で、レオナルド・ディカプリオが若き“トビー”を初々しくも激しく演じています。
トビーの楽天的な母をエレン・バーキン、その再婚相手でトビーに“しつけ”と言いつつ暴力をふるう義父をロバート・デ・ニーロが演じています。

【トバイアス・“トビー”・ウルフを知るためのキーワード】

〈1〉50年代のアメリカと“理想的な家庭”
トビーはいかにもアメリカの50年代の“反逆する若者たち”の象徴で、エルヴィス・プレスリーが大好きで彼の真似をしてリーゼントにしてみたり、町の不良グループと一緒に行動したりする少年でした。
そんなトビーに手を焼いた母キャロラインは、再婚相手のドワイトにトビーのしつけを任すことにするのです。
しかし一見紳士的なドワイトは、実は家庭内では暴君のように威圧的になる継父だったのです。
トビーとドワイト、お互いが認め合えずに、殴り合いのケンカになってしまいますが、これは冷戦に入った50年代の見せかけの平和の中の“理想の家庭”が崩壊していく様子も象徴しているようです。
映画デビュー間もないディカプリオが、名優デ・ニーロと激しく渡り合っているのが印象的な作品です!

〈2〉「兵舎泥棒」と「ボーイズ・ライフ」
トバイアス・ウルフはこの波乱に富んだ少年期を経て、その後高校を中退し徴兵で軍隊へ入り、ベトナム戦争へ従軍しています。
帰国してからはオックスフォード大学、スタンフォード大学で文学・創作を学び、作家としてデビューします。
1985年に発表した「兵舎泥棒」はベトナム戦争での体験を反映させた作品で、ベトナム戦争と60年代アメリカの翳りを表現し、ペン/フォークナー賞を受賞しました。
1989年にはこの映画の原作となる自伝的小説「ボーイズ・ライフ」を発表しています。

②バスケットボール・ダイアリーズ(1995)

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詩人・ロッカーとして活躍したジム・キャロルの日記を元に、荒廃した高校生活を描いた衝撃的青春!

70年代に彗星のごとく現れた現代の若き天才詩人と言われたジム・キャロルの日記「マンハッタン少年日記」を原作とした青春映画で、監督はスコット・カルヴァート、ジム・キャロルをレオナルド・ディカプリオが演じています。
高校生の麻薬依存や売春など、衝撃的内容で公開当初は物議を醸しましたが、ディカプリオの体当たりの演技は今観ても見ごたえがあります。

【ジム・キャロルを知るためのキーワード】

〈1〉「マンハッタン少年日記」
ジム・キャロルはニューヨーク生まれで、ミッションスクールに通いながらも不良仲間とつるんで問題を起こす生徒でした。
それでもバスケットボールと詩に対する情熱は本物で、唯一の理解者だった親友ボビーが白血病で亡くなると、仲間と共についにヘロインに手を染め始めてしまいます。
「バスケットボール・ダイアリーズ」はジムが13歳から16歳までつけていた日記「マンハッタン少年日記」を元に作られた映画で、高校生が麻薬に溺れ、麻薬を買うためのお金を稼ぐために男性相手に売春すらするようになってしまう恐ろしさを描いています。
「マンハッタン少年日記」は1978年に発表され、ビート・ジェネレーションの代表的作家ウィリアム・バロウズやジャック・ケルアックに絶賛されました。

〈2〉ザ・ジム・キャロル・バンド
ジム・キャロルは、ヘロイン中毒を本格的に治療するため、1974年から三年間山にこもりましたが、70年代後半には「マンハッタン少年日記」の発表によりパティ・スミスやキース・リチャーズなどパンクやロックのアーティストからもその詩を絶賛され、1980年にはザ・ジム・キャロル・バンドとしてデビューしています。
バンドの代表曲は「ピープル・フー・ダイド」で、若くしてドラッグで死んでいった者たちを淡々と語る詩とニューヨーク・パンク・スタイルの曲調が印象的です。
映画のラストでも、更生したジムが舞台で自分の経験を語りますが、ドラッグ中毒で死に急ぐ若者がいまだ多い中で、この作品はもっと観られても良いのではないかと思います。

③太陽と月に背いて(1995)

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フランスの天才詩人ランボーとヴェルレーヌの関係と詩に対する情熱を鮮烈に描いた芸術作品!

アニエスカ・ホランド監督によるイギリスの文芸作品で、原作はクリストファー・ハンプトンの戯曲「太陽と月に背いて」です。
現代フランス文学の天才詩人アルチュール・ランボーと、同時代に活躍した詩人ポール・ヴェルレーヌとの交流と愛憎を描いた作品で、ランボーをレオナルド・ディカプリオ、ヴェルレーヌをデイヴィッド・シューリスが演じています。

https://www.youtube.com/watch?v=-k1OAffjVw8&feature=youtu.be

【アルチュール・ランボーを知るためのキーワード】

〈1〉「地獄の季節」
アルチュール・ランボーは19世紀のフランスの詩人で、17歳でパリに出て詩人ヴェルレーヌと出会い、1873年に「地獄の季節」、1874年に「イリュミナシオン」を発表した後断筆し、その後は商人となった「早熟の天才」と評される人物です。
この映画では、ヴェルレーヌとの出会いから別れのわずか2~3年の期間を中心に、二人の詩作への情熱と愛憎の果てを描いています。
その後商人となったランボーも描かれていますが、なぜ彼が詩作を放棄してしまったのかということが、そこで表現されているように感じられます。
ランボーにとってヴェルレーヌとの魂の交感はたった数年間でも、彼の詩人人生そのものを形作り、ヴェルレーヌと別れた後に書かれた「地獄の季節」に全て集約されているかのようです。
それにしてもこのランボーを演じた時の21歳のディカプリオ、童顔のためか17歳と言っても全然おかしくなく、夭折の天才詩人を美しくも激しく表現しています!

〈2〉ポール・マリー・ヴェルレーヌ
ランボーと同じく19世紀フランスを代表する詩人で、初期は象徴派と呼ばれ評価されましたが、晩年はデカダンス(=退廃的な)の教祖とも言われ、反逆や背徳が漂う詩風となりました。
ランボーがパリに出向くため自分の詩を送ったのがヴェルレーヌで、ランボーとの出会いにより、妻子を捨て彼と同棲し、イギリスやベルギーなどを転々とするような破滅的人生を送ることになります。
17歳のランボーと出会った時、ヴェルレーヌは27歳、新進気鋭の詩人としての地位を確立しつつありましたが、この運命の出会いによって、彼の人生も大きく狂っていくのです。
それにしても、27歳にしてあの髪の薄さ…ヴェルレーヌの肖像画を見ると、演じたデヴィッド・シューリスがいかにそっくりなのかわかります!

④仮面の男(1998)

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蘇える鉄仮面伝説!フランスの絶対君主ルイ14世と“仮面の男”をめぐる歴史活劇!

ランダル・ウォレス監督による中世フランスを舞台とした歴史活劇映画で、アレクサンドル・デュマの「ダルタニャン物語」をモチーフとし、そこに鉄仮面伝説や三銃士の要素を絡めた娯楽作品となっています。
レオナルド・ディカプリオはこの作品で、絶対王政の暴君ルイ14世とその双子の弟フィリップを一人二役で演じています。
また老いた三銃士たち、アトスをジョン・マルコビッチ、アラミスをジェレミー・アイアンズ、ポルトスをジェラール・ドパルデューといった豪華キャストが演じています。

【ルイ14世/鉄仮面伝説を知るためのキーワード】

〈1〉ルイ14世と鉄仮面伝説
ルイ14世は17世紀フランスのブルボン王朝第3代国王で、フランス史上最長の在位72年を誇り、絶対君主制を確立し、太陽王とも呼ばれました。
しかし度重なる戦争に苦戦し、晩年の王政は戦費と散財による深刻な財政難に陥りました。
あの有名なヴェルサイユ宮殿を建設したのも、このルイ14世です!
そしてこの映画で登場する謎の囚人「仮面の男」が、ルイ14世の兄弟とする説は昔から存在し、アレクサンドル・デュマが「ダルタニャン物語」で題材として取り上げてからは、さらに有名になりました。

〈2〉三銃士とダルタニャン
日本でもアニメ「三銃士」などでお馴染みの“三銃士”は、アレクサンドル・デュマの創作で、三部作小説「ダルタニャン物語」の第一部「三銃士」に登場する架空の人物です。
ダルタニャンは実在の人物ですが、「三銃士」の中ではパリでアトス・ポルトス・アラミスの三銃士と出会い、銃士を目指す若者として登場します。
つまり、この映画は架空と現実を織り交ぜたフィクション作品となっていて、かなり娯楽性の強い作風なのです!
めったに見られない見どころあるシーンとしては、長髪のディカプリオが性格が全く逆の双子として登場し、二人で居合わせる場面でしょうか。

⑤キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002)

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究極の鬼ごっこ?天才詐欺師アバグネイルとFBI捜査官の攻防と交流を描いたヒューマンドラマ!

スティーブン・スピルバーグ監督によるコメディタッチのヒューマンドラマ作品で、天才詐欺師フランク・W・アバグネイル・Jr.の自伝小説「世界をだました男」を原作として制作されました。
アバグネイルをレオナルド・ディカプリオが、彼を追うFBI捜査官カール・ハンラティをトム・ハンクスが演じています。
タイトルの「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」とは、鬼ごっこで言う「鬼さんこちら」の意味で、アバグネイルとハンラティの関係性を示唆しています。

【フランク・W・アバグネイル・Jrを知るためのキーワード】

〈1〉詐欺と詐称
アバグネイルは両親の離婚が原因で16歳という若さで家を出てから、もうその年から銀行・信用詐欺や小切手詐欺を始めたといいます。
初めはそういった詐欺行為を重ねていましたが、それがエスカレートして身分詐称に発展していきました。
最初に詐称したのは、パンアメリカン航空のパイロット、そして教員助手、弁護士、医師と社会的信用が高い職を次々と詐称していきました。
弁護士の資格は19歳の時にルイジアナ州で実際に取得しています!また、パイロットと詐称していた16~18歳の間に、業界では“デッドヘッド”と呼ばれる社員用の無賃便乗で、少なくとも250回以上26ヶ国を訪れていたそうです。

〈2〉セキュリティ・コンサルタント
アバグネイルはこうした数々の詐欺行為・身分詐称を世界各国で行った結果、フランスで逮捕され、方々の国で裁かれる羽目になりました。
しかし、その後の展開こそが正に映画のような人生!彼はこんな前半生を見事に利用して、政府に詐欺捜査のために雇われたり、自らセキュリティ・コンサルタントとして詐欺対策をアドバイスする会社を興しています。
転んでもただでは起きない人生、実に楽天的かつ実用的!こういった逆転の展開は本当にアメリカらしいですね。
またトム・ハンクスが演じたカール・ハンラティは実在の人物ではなく、生涯アバグネイルの親友となったFBI捜査官ジョー・シアと他の人物を合わせたキャラクターだそうです。

⑥アビエイター(2004)

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アメリカの大富豪ハワード・ヒューズの激動の人生を演じきった伝記映画の傑作!

マーティン・スコセッシ監督による伝記映画で、アメリカの実在の大富豪・実業家ハワード・ヒューズの波乱の半生を描いたヒューマンドラマ作品です。
この作品でレオナルド・ディカプリオは主演でハワード・ヒューズを演じた他にも製作総指揮に名を連ね、アカデミー賞でも最多11部門にノミネートされましたが、これだけの力作にもかかわらず、結局主要な監督賞、作品賞、主演男優賞のどれも受賞には至りませんでした。

【ハワード・ヒューズを知るためのキーワード】

〈1〉「地獄の天使」とヒューズ・エアクラフト
「資本主義の権化」とすら言われた20世紀アメリカの最大の大富豪ハワード・ヒューズは、1905年にテキサスで生まれ、彼が18歳の時に両親が亡くなり莫大な財産を受け継ぎました。
彼はその財産を、夢だった映画製作と飛行機業につぎ込むことになります。
ハリウッドで映画製作者として次々ヒット作を制作し、その中でも「地獄の天使」(1930)はヒューズ自身のもう一つの夢、飛行機映画でした。
当時としては破格の100万ドル以上の製作費で、第一次大戦のパイロットを描くため、実際に大戦で使われた戦闘機を飛行させて撮影した大作で、撮影中パイロットが三人も事故死しています。
ヒューズもこの映画での飛行から墜落し、その後遺症から後年の奇行が始まったとも言われています。
1935年には念願だった航空産業に参入し、航空機製造会社ヒューズ・エアクラフトを設立し、自身も「Aviator=飛行家」として世界一周飛行の最速記録などを記録しています。

〈2〉飛行機事故と強迫性障害
1946年にヒューズ・エアクラフト社の高速偵察機の試験機操縦中の事故で大怪我を負ったヒューズは、晩年その止痛薬による麻薬中毒で精神衰弱に陥りました。
過去の数回の飛行機事故の後遺症からか、強迫性障害(OCD)の異常行動が見られるようになり、ついにホテルのスイートを無菌室にして引きこもってしまいます。
この映画ではそういった「光と影」両方のヒューズを描き出し、ディカプリオの鬼気迫る演技は絶賛されました。

⑦J・エドガー(2011)

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FBI初代長官J・エドガー・フーバーの半生をイーストウッド×ディカプリオで描いた意欲作!

クリント・イーストウッド監督のよる伝記映画で、FBI長官のJ・エドガー・フーバーの生涯を、そのキャリアや私生活に至るまで様々な角度から描いた作品となっています。
イーストウッド監督の作品には初主演となったレオナルド・ディカプリオは、フーバーの青年期から老年期までを演じきっています。
また、フーバーの厳格で支配的な母親をジュディ・デンチが、フーバーの右腕となるクライド・トルソンをアーミー・ハマーが演じています。

【J・エドガー・フーバーを知るためのキーワード】

〈1〉司法省と連邦捜査局
ジョン・エドガー・フーバーの詳しい出生はほとんど知られておらず、初期で確かな記録が残っているのはジョージ・ワシントン大学で法律学を学び、1917年に修士号取得、司法試験に合格したということです。
まず司法省に就職したフーバーはすぐに頭角を現し、1919年に諜報部門長、1924年には29歳の若さで長官に就任しています。
長官就任後から組織改革を行い、弱小官庁だった一捜査局を州にまたがって自由に捜査できる連邦捜査局(FBI)へと発展させたのが、このフーバーでした。

〈2〉権力と差別とセクシュアリティ
フーバーは政治家などを諜報活動して得た秘密情報を「フーバー・ファイル」にまとめ、政界への発言力とFBI内での権力を掌握していきました。
また明らかな人種差別者で、当時のFBIに有色人種の捜査官はほとんどおらず、60年代の黒人の公民権運動など苦々しく思い、キング牧師すら盗聴しようと画策しました。
そして、現在でも確たる証拠がなく推測の域を出ませんが、実は隠れた同性愛者だったのではないかとされています。
しかしこの映画ではそのことにも触れており、彼の側近で右腕として40年以上苦楽を共にしたクライド・トルソンとの関係性も物語の軸となっています。

⑧ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013)

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ウォール街の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの破天荒な人生を描いたコメディ作品!

再びマーティン・スコセッシ監督とコンビを組んだ作品で、ジョーダン・ベルフォートの回想録「ウォール街狂乱日記―「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生」を原作としたコメディ映画です。
この作品では証券詐欺で有罪判決を受け22ヶ月投獄された元株式ブローカーのジョーダン・ベルフォートを演じ、珍しくもディカプリオのぶっ飛んだコメディアン振りを見ることができます。

【ジョーダン・ベルフォートを知るためのキーワード】

〈1〉ペニー株とボイラールーム
ブローカーとしてウォール街でのキャリアをスタートさせたジョーダン・ベルフォートは、1990年にストラットン・オークモント社を創業しました。
しかしこの会社はペニー株(=1ドルに満たない安価な株式)詐欺をする株式仲介会社だったのです!
またベルフォートは、コールドコールで知らない相手に電話をかけさせ、相手が断れないようなプレッシャーをかけて契約を成立させるようなボイラールーム詐欺で大儲けします。
しかしついに1998年に証券詐欺と資金洗浄で起訴され、2億ドル以上もの投資損失を生み出したという「風説の流布」の罪に問われ、22ヶ月間服役することになりました。
日本だとどうしてもライブドア事件のホリエモンを思い出してしまいますが、このベルフォートの場合も刑務所で回想録を書くことを勧められ、出所後この映画の原作本と「Catching the Wolf of Wall Street」の二冊を出版しています。

〈2〉モティベーショナル・スピーカー
そんなベルフォート、なんと現在では啓発セミナーのスピーカー=モティベーショナル・スピーカーとして活動しているそうです!
ウォール街で投資家から金をだまし取り、酒池肉林の乱痴気騒ぎを繰り広げていたベルフォートですが、逮捕されて20年求刑されたのにもかかわらず司法取引で22ヶ月になり、回想録も売れて今や人にスピーチをして講演会を開いている…本当にそんな軽い人生でいいの!?と思うほどです。
この作品でいきなりのコメディタッチ、そして大勢を魅了するスピーチを披露しているディカプリオですが、本作の本当の狙いが判りかねるほど、軽い…と思わされたのは逆に成功なのでしょうか??

⑨レヴェナント:蘇えりし者(2015)

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アメリカの西部開拓時代に実在した罠猟師ヒュー・グラスの復讐と生き残りをかけた物語!

昨年「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」でアカデミー賞で作品・監督・脚本賞を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督による伝記映画で、アメリカ西部開拓時代の伝説の罠猟師ヒュー・グラスのサバイバル体験を描いています。
原作はマイケル・パンクの「蘇った亡霊:ある復讐の物語」で、レオナルド・ディカプリオがヒュー・グラスの過酷な体験を極限の演技で表現しています。
また、「インセプション」以来の共演となるトム・ハーディが、グラスを見捨て裏切るジョン・フィッツジェラルドを演じています。

【ヒュー・グラスを知るためのキーワード】

〈1〉西部開拓時代の探検家
ヒュー・グラスはペンシルベニア州のスコットランド系移民の家庭に生まれ、西部開拓時代の探検家として原始林や山岳など大自然の残るモンタナ州やサウスダコタ・ノースダコタ州、ネブラスカ州などを探検しました。
毛皮貿易のためのミズーリ川をさかのぼる“アシュレー将軍の探検隊”に参加し、その途中ハイイログマに襲われ重傷を負い、死んだものとして隊に置き去りにされてしまいます。
この実話はアメリカでは開拓時代の伝説として語り継がれており、いろいろな脚色も付け加えられているそうです。
この映画は、この伝説を元に執筆された小説「蘇った亡霊:ある復讐の物語」を原作として制作され、隊にはグラスの息子も同行しており、瀕死の父を置き去りにすることに反抗したため殺されてしまいます。
そしてグラスは“復讐”を糧に極寒の地から長いサバイバルの旅に出ることになります。

〈2〉320キロのサバイバル
隊の仲間に見捨てられ裏切られ、武器や装備など全て奪われてしまったグラスは、ミズーリ川を下って一番近い町フォート・カイオワへ向かいます。
何も持たず足は骨折し、極寒の地を這って進むというサバイバルは6週間続き、草木を食べて飢えをしのいだり、オオカミなどの野生動物を狩って食べたりして、何とか生き延びる術を模索しました。
町にたどり着いたグラスを見て、人々は「蘇った亡霊」=reverantと呼び、そこから伝説が生まれていったようです。
この映画で“復讐”がどう描かれるのかはまだわかりませんが、過酷な自然に打ち勝ったグラスがどのような選択をするかを映画館で確かめたいと思います。

まとめ

こうしてレオナルド・ディカプリオの実在の人物を演じた主演作品をデビュー当時から振り返ってみると、どれも見ごたえのある、各々の時代に沿った深い作品が多いことに気付きます。
それは演じた実際の人物が、たとえどんな人生であれ、それぞれ自分たちの信念を持って生きてきたからなのでしょうか?
最新作「レヴェナント:蘇えりし者」ではクマとの格闘や決死のサバイバルを見せてくれますが、この作品で見事、彼の演技の真価が評価され報われました!
一度は俳優休業宣言もし、ハワード・ヒューズのように映画製作業にも熱心なディカプリオですが、今後も彼の円熟した素晴らしい演技を見続けていきたいですね!

ABOUT ME
みこし
インテリアが大好きな30歳主婦です。趣味は、おしゃれな家具を見ることと、庭いじりです。よろしくお願いします。