ステンドグラスのある暮らし、なんだか憧れますよね。 光を通してキラキラ光るステンドグラスのあるお部屋で、ゆっくり過ごしてみたいものです。 そのステンドグラスが手作りできちゃうなんて、まさかねと思いますが、実は出来ちゃうんです。 もちろん簡単ではありませんが、しくみを理解し、いくつかのコツが掴めれば、作品を手作りすることは夢ではないんですよ。 ぜひあなたもステンドグラスの作り方を学んでみませんか?
ステンドグラス作りに必要な材料
ガラス
ステンドグラス用のガラスには、種類がたくさんあります。
透明な物と半透明な物があり、それぞれ色もたくさんあります。
半透明なガラスには流れ模様などの模様があり、それぞれ個性豊かな表情を持っています。
どんなガラスを選ぶかで、完成品のニュアンスがずいぶん変わってきますので、完成図を思い描きながらガラスを選ぶと良いと思います。
コッパーテープ(銅テープ)
ガラスのフチに巻きます。
色々な幅の物があります。
バックコート有りの物は、透明ガラスに使います。
無しの物より少し割高です。
巻き上がりはこんな感じになります。
この巻き具合が仕上がりの美しさを一番左右する部分なのだそうです。
半田
http://thumbnail.image.rakuten.co.jp/
棒半田を使います。
こんな風に、コッパーテープの上から半田付けしていきます。
フラックス(液体・ペースト)
フラックスは半田付けの際に必要な薬品です。
松脂などに薬品を加えて作られています。
半田棒やコッパーフォイルの汚れを除去する役割、表面張力を小さくすることで半田が濡れやすくする役割、再酸化を防ぐ役割があります。
ブラックパティーナ
半田はシルバーカラーなので、黒い色に染めたいという方はこのブラックパティーナを塗ります。
別にシルバーのままでいい、という方は省いて良い工程です。
ステンドグラス作りに必要な道具
お試しセット
ちょっと試しにやってみたい!
体験教室で使うために準備したい!
そんな方に、まずこれだけあればとりあえず大丈夫!というセットです。
半田ごてやこて台、プライヤー(ペンチ)はあるもので代用も出来そうですね。
そんな方は、オイルカッター1本の購入で、チャレンジできそうです。
オイルカッターは1000円くらいから購入できます。
●小型オイルカッター
ガラスをカットするのに使います。
オイルを入れて使います。
入れるオイルはミシン油や灯油でOK。
●スポイト
オイルカッターにオイルを入れる時に使います。
●ワニ口・ギザ付きプライヤー
ガラスを引っ張ったり、割り取ったりします。
●80W直型はんだごて
●こて台
ガラスと鉛線を固定するために使います。
●ケミカルペースト
こて先が半田をはじいてしまう時に使います。
オイルカッターの先端です。
こんな風に回転する小さな刃が付いていて、その周りが手を守るためのガードで囲われています。
少しずつ、軸部分に入れたオイルが出てきて、カッターの潤滑油になる仕組みです。
スターターにあると便利な道具
上のセットに加えて、本格的に始めてみようか、というスターターの方にあると便利な道具類です。
ザグザグ
ガラスをザクザクとカットします。
端の処理などに便利です。
グロージングプライヤー
ガラスを切って割り取る時に使います。
ブレーキングプライヤー
ガラスを割り取るのに使います。
砥石
カットした後のガラスはとても鋭利で危ないので、砥石で整える必要があります。
ガラス用の砥石が1つあると良いでしょう。
ステンドグラスの作り方
直径20cm程度のチューリップパネルの作り方を紹介します。
1. デザインと型紙を作成する
まず最初に、デザイン画を描きます。
初心者の場合、曲線カットはとても難しいので、なるべく直線にするか、ゆるやかな曲線程度にとどめておきましょう。
今回はチューリップなので曲線がたくさんありますが、どれもゆるやかで直線に近い物です。
デザインが画できたら、2枚コピーして型紙を作ります。
1枚はガラスカット用、もう1枚は組み立て用です。
ガラスカット用の型紙をカットします。
ガラスとガラスの間にはコッパーテープが入りますので、1mm程度の隙間が必要になります。
そのため、間を開けてカットできる2枚刃カッターなどもありますが、普通にはさみでカットしても問題なく作れますので、ここでは普通のはさみで線の上をカットしています。
2. ガラスを選ぶ
ガラス選びはとても大事な工程です。
ガラスの種類や色、質感や模様によって、その作品のイメージが作られていくからです。
今回は、チューリップの花と葉の部分には半透明の流れ模様が入ったガラスを、背景部分には透明ガラスを使います。
3. ガラスをカットする
まずはオイルカッターの準備です。
軸の部分にスポイトを使ってオイルを注入します。
初めての場合は、まず練習をした方が良いでしょう。
カットする目標のラインをマーカーで入れておきます。
カッターを走らせる向きは、手前から遠くへ遠ざける方法が、目標ラインが見やすく、体重も掛けやすいため、初めての方には適した方法です。
フチから1mmくらいのところからスタートし、終わりもフチから1mmくらいのところでストップします。
力の入れ具合はガラスの方さや厚さによっても違いますが、「キリキリキリ」とガラスの鳴き音がする程度が丁度良い力具合です。
カッターがすべってしまわないよう、抑える手には力をこめましょう。
ブレーキングプライヤーでフチから挟みます。
この時、ブレーキングプライヤーの四角いパッドがついている方が上に、丸いパッドの面が下にくるように持ちます。
四角いパッドの真ん中と、ガラスのカット目標線が合うようにして挟みます。
じわじわと力を加えていくと、ビシッと音がしてヒビが入ります。
これだけでガラスが割れることもありますが、曲線の場合は割れにくいので、両側のフチから挟んでヒビを入れ、その後オイルカッターでコンコンと目標線に沿って叩いて割ります。
練習が終わったら、本番のガラスに型紙を置いてラインを書き込みます。
この時、型紙と型紙の間は5~10mmあけるようにしましょう。
オイルカッターでカットしていきます。
この時、目標線より内側をカットします。
後で巻くコッパーフォイルのスペースを取るためです。
どんどんピースを切り出していきます。
残ったガラスに目標線が残っていれば、小さめに切れたということなので、成功です。
ガラスカットの作業中は、こまめに机上を清掃しましょう。
ピースをカットするたびに、小さなガラス片がたくさん落ちている可能性があります。
こまめに掃除をすることで、怪我を防ぐことにつながります。
こんな小さな出っ張りなどは、ザグザグを使うときれいに切り取ることができますよ。
4. ガラスピースを研磨する
カットしたピースはまだ型紙と全く一緒ではありません。
端は鋭くとがっており、とても危険です。
そこで、研磨作業が必要になります。
まずは砥石を使って地道に研磨する方法があります。
砥石は手ごろな値段で買えるので、まずはこれでやってみましょう。
でも本格的に作りたくなったら、ステンドグラス用ルーターを使うと格段に作業が楽になります。
ルーターは2万円程度で購入することができます。
ルーターを使った研磨作業の様子です。
ぐるりと1週研磨したら、水ですすぎ、よく水をふき取ってから型紙の上に置き、サイズを確認します。
マーカーのラインより少し内側になるようサイズを整えながら研磨していきます。
5. コッパーテープを巻きつける
この作業にあると便利な道具です。
へらは専用の物でなくても、代用できる物でも良いでしょう。
はさみはテフロン加工してある物が良いようです。
コッパーテープの幅は、ガラスの厚さ+1.5~2mmの物を選びます。
ガラスピースの端から5mmほど出た部分から巻き始め、ぐるりと1週巻きます。
テープ幅の真ん中にガラスが来るように巻きます。
両端のはみ出し部分が同じくらいになるように注意しましょう。
1週したら、最初の5mmのはみ出し部分と最後が重なるようにして貼り、カットします。
はみ出し部分を指でつまんで倒していきます。
このようにして、ガラスピースのフチをコッパーテープで包んでいきます。
へらでしごいて、テープとガラスピースを密着させていきます。
6. ハンダ付け
まず、作業に入る前に防御用メガネをしましょう。
普段からメガネをかけている方は、いつものメガネだけで大丈夫です。
ハンダは飛び散ることがあるため、目を守る必要があります。
まず型紙の上にピースを置きます。
ガラスピースの角が集まった地点を、まず最初に留めていきます。
これを「点止め」と言います。
最初に液体フラックスを筆で塗っていきます。
フラックスには液体とペーストがありますが、この時ペーストを使うと塗る時にピースが動いてしまう可能性があるので、液体の方が良いでしょう。
次に、熱くなったハンダごてにハンダ棒を付け、水滴のように溶けだしたら、接着する部分に押し当てます。
溶けたハンダがコッパーテープの間に入り込めばOKです。
ガラスピースの角が集まった交差点を全てハンダで留めます。
これでピースがずれることはなくなりました。
次に、本ハンダの前に、全てのコッパーテープの上にペーストフラックスを塗っていきます。
なぜペーストを使うかというと、ペーストの方が液体よりも人体への害が少なく、ハンダが錆びる可能性も低いからです。
本ハンダをします。
ハンダはコッパーテープを完全に覆い、こんもりとした形に盛ります。
ハンダが薄いと見た目が貧相になるだけでなく、強度も落ちてしまうので、しっかり盛りましょう。
ハンダは失敗してしまっても、またこてを当てて温めれば溶けるので、何回かはやり直しがききます。
ここでは周囲に鉛線を巻く関係から、端の部分は本ハンダにせず、ハンダメッキ(盛らずに薄くのばして色を着けるだけ)にしています。
表の本ハンダが出来たら、裏もやります。
ただし、裏は素早く!
なぜかというと、長くハンダごてを当てていると、表のハンダも溶けてしまうからです。
裏はささっとやるのがキーポイント。
裏からハンダごてを当てすぎると、こんな風に表に流れ出してしまったりします!
でも大丈夫。
もう一度ハンダごてを当てれば溶けるので、修正することはできますよ。
7. レッドケイム(鉛線)で外周を巻く
仕上げに外周をレッドケイム(別名:鉛線)で巻いていきます。
外回りもハンダで仕上げるやり方もありますが、ここではレッドケイムを使う方法で作っています。
今回使うのは、U型をしたケイムです。
他にもH型のケイムもあります。
専用カッターもありますが、普通のカッターやニッパーでもカットできます。
端はつぶれていることがあるので、少しカットして開いておくようにしましょう。
ケイムの溝にステンドグラスの周囲をはめ込んでいきます。
どこから始めてもいいのですが、つなぎ目が目立たないよう、下の方から始めると良いでしょう。
始まりの部分は、ハンダでステンドグラス本体に仮止めします。
この時注意が必要なのは、ケイムは熱に弱いということ!
ハンダごての熱で、ケイム自身も溶けて変形してしまうのです。
ですから作業はここでも素早くささっと!が基本です。
ぐるりと周囲をはめ込んだら、最後にケイムがぴったり合う長さで余分な部分をカットします。
そしてハンダで接合します。
最後にコッパーテープとケイムをハンダで連結させます。
8. 洗浄
フラックスを落とすため、中性洗剤と真鍮ブラシでゴシゴシとよく洗います。
歯磨きの要領で、ゴシゴシきれいに洗いましょう。
こうすることで、表面の酸化膜が取り除かれ、ハンダ部分の黒染めがきれいに出来ます。
9. 黒染め
ブラックパティーナという薬品をスポンジに少量取り、ハンダとケイム部分に塗っていきます。
化学変化で黒く色が染まります。
黒い方が締まって見えるのでこの作業をしますが、別にシルバーでもいい!という方は飛ばしても構わない工程です。
最後に流水で洗い流します。
黒染めした部分は衝撃に弱いので、ぶつけたりしないよう注意しましょう。
洗った後はタオルでゴシゴシせず、軽く押さえて水気を拭き取ります。
最後にお好みでワックスを塗ったら完成です!!!
このワックスも専用の物がありますが、レザー用ワックスやカーワックスでも大丈夫です。
素敵なステンドグラス作品紹介
すずらんサンキャッチャー
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ピンクの小さなお花がかわいらしい作品です。
サンキャッチャーとして窓際に置いても、普通に飾り棚などに飾ってもかわいいですね。
手作りステンドミラー
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動きのある海の渦のようなデザインです。
こんな鏡が家にあったら素敵ですね!
玄関インテリアにもぴったりです。
ビール!
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ビールの泡は不透明ガラスで、ビール部分は透明の気泡が入ったガラスでよく表現していますよね!
本物のビールみたい。
楽しいインテリアですね。
子犬のオーナメント
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シンプルだけどかわいいオーナメントです。
たくさん作って窓辺に飾ってもかわいいですよね。
ツリーのオーナメントにしてもユニークでいいと思います。
プレゼントにも良さそう。
表札
http://www.atelier-yoshida.com/
ステンドグラスでオリジナル表札を作るのもいいですね。
家族のテーマカラーを生かして、我が家らしさを表現するのも楽しいですね。
みんなで作ったらよい思い出になりそう。
ウォールクロック
http://spicepink.c.blog.so-net.ne.jp/
ステンドグラスの教室で初級クラスの生徒さんたちが作った作品なんだそうです。
こんなに上手にできてしまうものなんですね!
みなさんそれぞれの個性が出ていて、どれも素敵です。
あなたもステンドグラス作りに挑戦してみませんか
難しそうではありますが、その美しさを見ると、ぜひ作ってみたいなぁと思うステンドグラス。
最初から一人で作るのはなかなか勇気がいりますが、教室の体験クラスなどで一度やってみると、こつがつかめるかもしれませんね。
上手になったらドアガラスや小窓なども自分でデザインして作れたら素敵ですね。
まずは直線オンリーのデザインから、チャレンジしてみませんか。