やはり日本の漫画は面白い！最近どんどん面白い漫画が実写映画化されていますが、その出来栄えが気になるところです。2000年以降の実写化作品を、メインキャストのなりきり度と作品の再現度を柱にまとめてみました。原作漫画の連載雑誌とコミックスについても併記していますので、原作の漫画も併せてぜひ！なりきり度は三ツ星、再現率は200％までで、あくまでも採点は目安です。
目次
1）テルマエ・ロマエ（2012）
究極のお風呂エンターテインメント！「濃い顏」古代ローマ人と「平たい顏族」日本人をつなぐ浴場物語
《なりきり度》☆☆☆《再現率》180％
武内英樹監督、阿部寛主演、ヤマザキマリ原作のコメディ映画です。原作は「月刊コミックビーム」で連載、ビームコミックスで全6巻が発売されています。
古代ローマ人の浴場設計技師ルシウスが、お風呂から現代日本の浴場へタイムスリップして繰り広げる、お風呂を愛する人におくる物語！「テルマエ・ロマエ」とはローマの浴場という意味です。
《濃い顏が勢ぞろい！》ローマロケは本場イタリアのチネチッタスタジオ
主人公ルシウスを阿部寛が演じたことで、もう再現率100％！さらに他の古代ローマ人キャストも、日本の「濃い顏」俳優が集結！ハドリアヌス皇帝を市村正親、次期皇帝候補ケイオニウスを北村一輝、アントニヌスを宍戸開が演じています。
《原作者ヤマザキマリ》古代ローマおたくのイタリア人夫から触発された作品！
この映画の原作漫画「テルマエ・ロマエ」が大ヒットするまでの、ヤマザキマリの経歴がすごい！イタリアで美術史と油絵を学び、文学研究者のイタリア人と結婚しイタリア在住というイタリア通。ヤマザキマリならではの視点と経験で描かれたこの作品だからこそ、妙な説得感と世界観が完成しているのでしょうか。
2）のだめカンタービレ 最終楽章（2009／2010）
エリート音大生とピアノに天賦の才を持つ“のだめ”の恋と成長をメインに、クラシック音楽界を描いた音楽系少女漫画実写化の代表格！
《なりきり度》☆☆☆《再現率》120％
武内英樹・川村泰祐監督、上野樹里・玉木宏主演、二ノ宮知子原作のコメディ・クラシック音楽映画。原作は「Kiss」連載、講談社コミックスKissで全25巻が発売されています。
“のだめ”こと野田恵が、音大ピアノ科で出会った指揮者志望の千秋真一にそのピアノの才能を見出され、後を追い成長していく様子を描いています。
2006年に放映されたフジテレビのドラマ化作品の続きとして前・後編の映画が公開され、完結編となりました。
《個性的すぎるキャラクターたち》のだめ使用の小道具「プリごろ太」や「マングース着ぐるみ」もグッズ化！
主人公のだめを演じた上野樹里のなりきり度が話題になりましたが、他の脇を固めるサブキャラたちのキャラ立ち度もすごい！一番はやはり千秋の師シュトレーゼマン役の竹中直人でしょうか！？
《海外ロケと劇中演奏》海外ロケはフランス、チェコ、スロバキア、オーストリア！
劇中演奏はルー・マルレ・オーケストラをブルノ国立フィルハーモニー管弦楽団が、のだめのピアノ演奏を中国人ピアニストのラン・ランが担当しています。ドラマでもお馴染みの「のだめオーケストラ」メンバーもＲ☆Ｓオケにエキストラ出演しています！
3）ピンポン（2002）
卓球にかける青春！驚異のVFXで度肝を抜く試合シーン！これぞなりきり度・再現率MAXの実写化作品
《なりきり度》☆☆☆《再現率》200％
曽利文彦監督、宮藤官九郎脚本、窪塚洋介主演、松本大洋原作の高校の卓球部をメインに描いた青春映画。原作は「ビッグコミックスピリッツ」連載、ビッグコミックスで全5巻が発売されています。
“ペコ”こと星野裕は高校の卓球部員なのに練習はさぼりがち。それでも人一倍自信と卓球愛がある！ペコの幼馴染み“スマイル”こと月本誠やライバルたちとインターハイに臨む。
《見た目と雰囲気》実は「ピンポン」が映画初出演となる中村獅童。初でこの強烈なインパクト！
ペコ役の窪塚洋介を筆頭に、スマイル役のARATA、ドラゴン役の中村獅童、アクマ役の大倉孝二、チャイナ役のサム・リーなど主要人物のなりきり度と再現率の高さに脱帽！
また、重要なサブ舞台となる「タムラ卓球場」の雰囲気や脇を固めるキャラ、オババ役の夏木マリやバタフライジョー役の竹中直人のさり気ない演技が光ります。
《VFXと劇中音楽》卓球の試合シーンはボールやコートなどをメインにフルCG！
松本大洋の原作漫画の凄まじい試合シーンを実写化するために、当時では最先端のVFXで最大限に表現！これにより漫画でのペコとドラゴンの超絶ラリーをより忠実に再現できています。
劇中音楽はSUPERCARが主題歌を担当、石野卓球やBOOM BOOM SATELLITESなどテクノ系ミュージシャンが参加しています。
4）るろうに剣心（2014）
剣豪アクションの実写化に驚嘆！伝説の剣客の死闘を大スケールで描いた剣劇ドラマ！
《なりきり度》☆☆《再現率》90％
大友啓史監督、佐藤健主演、和月伸宏原作の剣劇アクション映画で、前編「京都大火編」と後編「伝説の最期編」の二部に分けた映画「るろうに剣心」の完結編です。原作は「週刊ジャンプ」連載、ジャンプコミックスで全28巻が発売されています。
この二部作では伝説の剣客・緋村剣心と宿敵・志々雄真実との最後の対決を描いています。
《戦闘シーンと技》注目は剣心の飛天御剣流の奥義！
主人公・剣心役の佐藤健の見た目とアクションには満足度が高く、他のキャラでは敵役の志々雄を演じた藤原竜也の熱演、斎藤一役の江口洋介のなりきり度とかっこよさは特筆に値します！
剣心の闘うシーンでは四乃森蒼紫との死闘や、瀬田宗次郎との激闘が見どころで、神木隆之介の宗次郎の技「縮地」はなかなかの出来栄えです！
《ロケ地マップ》北は山形から南は熊本まで！日本全国10都県でのロケを敢行！
物語の舞台は転々とし、ロケ地は30ヵ所以上にもなったといいます。映画公式HPにはロケ地マップがあり、「滋賀ロケーションガイド」ではロケレポートやロケ地紹介動画もあり、とても詳しく取材しています。参考にしてロケ地巡りをすれば、るろうに剣心の映画世界にどっぷり浸れること間違いなし！
5）寄生獣（2015）
“日常は、ある日とつぜん、食べられた”―人間に寄生し捕食する謎の寄生生物と人類との闘いを描いた衝撃の実写化作品！
《なりきり度》☆☆《再現率》80％
山崎貴監督、染谷将太・阿部サダヲ（声）主演、岩明均原作のアクション・ヒューマンドラマ作品。原作は「月刊アフタヌーン」連載、アフタヌーンコミックスで全10巻が発売されています。
実写化は不可能と言われてきた傑作漫画「寄生獣」を、CGを駆使して完成させた前・後編の大作です。ある日突然謎の寄生生物が右手に寄生してしまった主人公・泉新一は、彼の“右手＝ミギー”と「人類の生存」をかけた戦いに巻き込まれていきます。
《田宮良子の完成度》パラサイトの中でも高い知能を持ち、人間の子を出産する田宮を完璧に表現！
メインキャラの中でも断トツの存在感で異彩を放っているのが、新一にとっても物語にとってもキーパーソンとなる田宮良子役の深津絵里。他のキャラでは、新一の宿敵となる後藤役の浅野忠信が“最強のパラサイト”を力強く冷淡に演じています。また、島田秀雄役の東出昌大や東福山市市長役の北村一輝も原作にかなり近い雰囲気で印象に残りました！
《フルCGのミギー》パラサイト同士の壮絶な戦いをフルCGで迫力ある映像に！
日本の実写映画で本格導入したのが本作で初めてという「パフォーマンスキャプチャー」を採用！ミギーの声を担当した阿部サダヲの身体にマーカーを付けて複数のカメラで検知させるモーションキャプチャーと、頭部に付けたカメラで顔の演技を撮影するイメージベースド・フェイシャルキャプチャーを使用しています。CGミギーに阿部サダヲの個性が投影されていて、原作よりも少し情感あるキャラになっています。
6）デスノート（2006）
死神のノート「デスノート」をめぐる頭脳戦！本当の“正義”を問う問題作を大胆に実写化！
《なりきり度》☆☆《再現率》70％
金子修介監督、藤原竜也・松山ケンイチ主演、大場つぐみ・小畑健原作の心理サスペンス作品です。原作は「週刊ジャンプ」連載、ジャンプコミックスで全12巻が発売されています。
ノートに名前を書かれた者は死ぬという「死神のデスノート」を拾った主人公・夜神月は、自らの正義を信じ次々と犯罪者を葬り始めます。世間はやがて彼の存在を“キラ”と呼び崇拝する者まで現れます。暴走する月と対峙する世界的探偵L(エル)との頭脳戦を描いています。
《死神のCG化》物語のカギを握る死神リュークの声は中村獅童！高笑いが印象的！
月にデスノートを拾わせた死神リューク。実写映画の中で唯一の架空の存在の死神を、迫力あるCGで表現しています。そのCG化には「ピンポン」のCGも製作したデジタル・フロンティア社が担当しています。
《スピンオフも製作》実写で見た目が評価できるのはミサミサとL！
見た目と雰囲気のなりきり度で言えば、より近い再現は“第二のキラ”弥海砂（ミサミサ）役の戸田恵梨香とL役の松山ケンイチ。特にLは仕草も雰囲気も良かったです！スピンオフで「L change the WorLd」が作られたのも納得です。
7）20世紀少年（2008／2009）
“本格科学冒険漫画”を20世紀に生きた少年たちへ―少年たちの空想を具現化した近未来的世界を描いた三部作！
《なりきり度》☆《再現率》60％
堤幸彦監督、唐沢寿明主演、浦沢直樹原作の近未来的ディストピアを描いたSFアクション三部作です。原作は「ビッグコミックスピリッツ」に連載、ビッグコミックスで全24巻が発売されています。
1970年代に少年時代を過ごした主人公のケンヂは、1997年の現代、平凡な日々を送る中年手前の普通の男。しかし世界各地で起こり始めた異変が、少年の頃空想した“よげんの書”通りに起こっていることに気付きます。その異変の陰には“ともだち”という謎の人物が…ケンヂが記憶をたどり始めた先に待つものとは？！
《“よげんの書”と“ともだち”》ありそうでありえないベタな少年の空想世界をリアルに表現！
メインキャラのなりきり度・再現率で一番印象に残るのはトヨエツのオッチョ！覆面姿の“ともだち”の雰囲気と声も良かったです。“よげんの書”の存在感も作品にハマっていました。ともだちランドもベタなのに妙にリアルに作られていて原作の雰囲気が出ていました。
《♪ボブ・レノン》曲名の由来はボブ・ディランとジョン・レノンから。この曲はラストで演奏されます！
ケンヂが作った曲で、ケンヂの仲間“ケンヂ一派”と、対する“ともだち”の宗教団体・友民党の実態を歌っています。特に第三部では重要なモチーフとなって度々登場します。映画ではケンヂ役の唐沢寿明が実際に歌っています。
8）宇宙兄弟（2012）
宇宙を夢見る子供たちへ！“夢の続きを、始めよう”―二人そろって宇宙飛行士を目指す兄弟の成長物語！
《なりきり度》☆☆《再現率》80％
森義隆監督、小栗旬・岡田将生主演、小山宙哉原作の宇宙飛行士を目指す兄弟が主人公の宇宙を主題とした作品です。原作は「週刊モーニング」で連載、モーニングコミックスで26巻が既刊となっています（2015年7月現在）。
幼い日に「宇宙に行こう」と約束した南波兄弟。弟の日々人が先に宇宙飛行士となり、兄の六太は宇宙への夢を諦めかけていました。しかし日々人は六太を信じ、再び宇宙へ誘い、再び二人で夢を追いかけ始めます。
《がんばったアフロ》小栗旬のアフロ姿…！
六太役の小栗旬のアフロ姿を始めて見た時にある意味度肝を抜かされました…！再現率はイマイチ？でも六太になりきろうという努力は良かったです！弟の日々人役の岡田将生は見た目も爽やかさも再現率高め。
《JAXAとNASA》宇宙センターでのロケとロケット打ち上げ
JAXAの全面協力により、筑波宇宙センターでのロケを敢行しています！またNASAケネディ宇宙センターでも大型ロケを行っています。特にロケット打ち上げシーンはかなりの迫力を感じました！宇宙飛行士の野口聡一と伝説の宇宙飛行士バズ・オルドリンも特別出演しています。
9）荒川アンダーザブリッジ（2012）
“宝物はきっと、ここ（AUTB）にある―“荒川の橋の下に住む奇妙な住人たちとの常識を超えた生活を描く！
《なりきり度》☆☆☆《再現率》100％
飯塚健監督、林遣都主演、中村光原作のコメディ作品で、原作は「ヤングガンガン」連載、ヤングガンガンコミックスで14巻まで発売されています。
幼い頃から「他人に借りを作るべからず」と父に教えられ育ってきた世界トップ企業の御曹司・市ノ宮行。そんなエリートの行がひょんなことから荒川河川敷に住む自称金星人ニノに命を救われて、借りを返そうとニノの恋人となり荒川の橋下で生活することになり…！？
《ドラマ版と同じキャスト》アニメ版は2010年放映、Webラジオもアニメに合わせ配信
2011年にTBS系でドラマ化され、深夜枠としては異例の33局ネットで放映されました。映画版はドラマ版と同じキャスティングで、ドラマは短編形式でした。ある意味実写化は難しいと思っていたので、本当にまさかの実写化でした！
《特色ありすぎキャラたち》一番の衝撃はカッパ村長役の小栗旬と星役の山田孝之！
荒川河川敷の住人たちを、あの漫画的表現をどう実写化するのかと思ったら、単純に被り物！特に全身カッパ姿の小栗旬（一見誰だかわからない）と頭が星の被り物の山田孝之には「よく演じたな～」という感慨が！城田優のシスター、片瀬那奈のマリアもインパクト強め！
10）GANTZ（2011）
謎の黒い球体“GANTZ”―死んだはずの人間が召喚され、異形の星人との戦いを強いられるパラレルSFアクション！
《なりきり度》☆☆《再現率》120％
佐藤信介監督、二宮和也・松山ケンイチ主演、奥浩哉原作のSFアクション作品で、原作は「週刊ヤングジャンプ」連載、ヤングジャンプ・コミックスで全37巻が発売されています。
2004年にテレビアニメ、2011年に二部作として映画が公開！主人公・玄野計と親友の加藤勝は、電車に落ちた人を助けようとして轢かれ―ところが、次の瞬間マンションの一室に！そこには謎の黒い球体“GANTZ”があり、未知の星人との戦いを強要されることになり…？！
《召喚された人々》次々と入れ替わっていくガンツメンバー！
主人公の玄野、準主役の加藤を二宮和也と松山ケンイチが演じ話題になりましたが、その他のガンツ召集メンバーの中でも、キーパーソン西丈一郎役の本郷奏多や初期ヒロインの岸本恵役の夏菜のなりきり度は良かったです。岸本が初めて召集されるシーンはなんと全裸！徐々に体が表れていく過程の再現度がすごい！
《ガンツスーツと星人たち》ゲーム形式の戦闘や奇妙な星人たちを忠実に再現！
星人との戦いが採点式ゲームで、細かいルールや設定があったり、ガンツメンバーや星人たちに実在のモデルやパロディがあったり、「ガンツ」世界は非常に日本的です。
ガンツに召集されたり戦闘に送られる「転送」の様子や戦闘用ガンツスーツ・Ｘガンなどの武器の再現度も見どころです。
11）NANA（2005）
二人の“NANA”の恋と友情の物語―大ヒット少女漫画の実写化！キャストの豪華さにも注目！
《なりきり度》☆☆☆《再現率》150％
大谷健太郎監督、中島美嘉・宮崎あおい主演、矢沢あい原作のバンド系音楽映画で、原作は「cookie」連載、リボンマスコットコミックスで21巻までが既刊となっています。
それぞれの思いを抱いて東京へ上京した二人の“ナナ”の出会いから、二つのバンドBlack Stones（ブラスト）とTrapnest（トラネス）の成功物語とメンバーたちの恋愛模様を描いています。
《漫画から出てきたような》漫画の中のファッションをそのまま再現でより再現率アップ！
少女漫画の実写化はなかなかイメージ通りのキャスティングが難しいところ、この作品のキャストは主人公二人・大崎ナナ役の中島美嘉と小松奈々役の宮崎あおいがピッタリで大成功！男性陣は特にハードルが厳しい中、ナナの恋人レンを松田龍平が、奈々の恋人タクミを玉山鉄二が好演しています。
《CDも主題歌も大ヒット》イメージアルバムとトリビュートアルバムが発売！
中島美嘉がNANA starring MIKA NAKASHIMAとして歌った♪GLAMOROUS SKYはブラストの持ち歌として、伊藤由奈がREIRA starring YUNA ITOとして歌った♪ENDLESS STORYはトラネスの持ち歌として劇中で披露され大ヒットしました！その年の年末には紅白歌合戦にも二人そろって出場しました。
この他にもまだまだある！実写化映画
今年に入ってもまだまだ漫画原作の実写化映画が続々公開されています！「暗殺教室」「海街diary」「新宿スワン」「進撃の巨人」「S-最後の警官」「ピース オブ ケイク」「バクマン。」などなど…この先もどんどん続きます。撮影技術やCG・VFXなどの水準が上がってきた日本映画の実写化にはこれからも期待していきたいです！
