おすすめのユーモア小説を5選ピックアップしました! 小説といえば、感動のラブストーリーやノンフィクション、または芥川賞・直木賞作家の作品等が有名になりやすいですが、まるで漫画のような感覚で読める小説も沢山あります。 小説というと、難しい印象を受ける方も多いと思いますが、決して難しい作品ばかりではありません。もちろん、気軽に読めるものも沢山あります。ぜひ読んでみてくださいね。
目次
どの短編読んでも抱腹絶倒!リリーフランキーのユーモアが一杯詰まった「美女と野球」
美女と野球 (河出文庫)
リリー・フランキー
河出書房新社
美女と野球のあらすじ
タイトルには「野球」と入っていますが、本編には野球の事など一つも書かれていません。
それもそのはず。この本の著者リリー・フランキーさんは、おそらく「ただダジャレ言いたかっただけなんじゃないか、タイトルに・・。」とツッコミたくなる位ふざけたような内容の短編のオンパレードです。
あらすじを紹介したくても、紹介出来るようなストーリー展開が全くないので説明出来ないという程、「リリーさんのボヤキが、ただただテンコ盛りな短編集」になっています。
(例えば、「ただ俺は犬が好きだ。そして、エロい事が好きだ。」など・・。そんな感じの内容がずっと続いていくのです。ちなみに、エッセイではなく、一応短編集です。)
見どころは、「自由なリリーさんの世界観」
http://img.cinematoday.jp/res/A0/00/17/A0001783-00.jpg
この本の素晴らしい所は、何といってもリリーさんが自由に書きたい事書いてる所ですね。
「東京タワー」で感動した後に、これを読んだのですが、とてもじゃないけど同じ人が書いたと思えませんでした。
だけど、どちらもそれぞれに良いんですよね。リリーさんが大好きな人にはたまらない作品ですよ!
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2枚組) [DVD]
オダギリジョー, 松岡錠司, 樹木希林, 内田也哉子, 松たか子
VAP independent(VAP)(D)
また、リリーさんといったら忘れちゃいけないのが「東京タワー」。こちらは、実の母親との関係を描いています。
テーマは、母との死別ですがリリーさんらしく軽いタッチで描いています。
書評でも、何故か奥深い読み方をした大人のコメントが多く評価も高い作品
この一冊を読んで、リリー・フランキーの物の考え方、好きだなと思った。
「こーゆー人たちの描く絵」で、リリーは知的・精神障害者の扱われ方についてこう語る――「健常者だって不具者だって、絵の上手な奴もいれば、性格のヤな奴だっているでしょ」。この言葉は、知的障害を持った主人公を描いたドラマにおいて主人公が概して「いい人」として描かれること、そして精神病院の先生が患者の絵を見て「こーゆー人たちの描く絵っていいですよね」と言ったこと、という二つの出来事についてのコメントだ。
こうやって善人面をする人たちは、善意のつもりで、その人たちを無理やり大きな一つの枠に閉じ込めてしまう。差別意識ってむしろこういう逆の形で表れるものだと僕は思う。そんなわけで上のリリーの言葉に共感する。
http://hondewarau.blog.shinobi.jp/Entry/90/
また、書籍の評価も高く、意識の高い大人の方々から「なぜか深い読まれ方」をされるリリーさんの作品。作品自体はユルいの、深く読ませてしまうのがリリーさんの凄さかもしれませんね。
ついに芥川賞を授賞した本谷有希子の衝撃作「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」
ついに芥川賞を授賞した本谷有希子の衝撃作「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」
本谷 有希子
講談社
やっと芥川賞を授賞したと呼び名も高い、本谷有希子の衝撃作として話題になった作品です。とにかく、展開がハチャメチャすぎて最初に読んだ時は驚きましたが、いつまでもストーリーが脳裏にこびり着いて離れない。そんな作品です。
腑抜けども、悲しみの愛を見せろのあらすじ
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「あたしは絶対、人とは違う。特別な人間なのだ」――。女優になるために上京していた姉・澄伽(すみか)が、両親の訃報を受けて故郷に戻ってきた。その日から澄伽による、妹・清深(きよみ)への復讐が始まる。高校時代、妹から受けた屈辱を晴らすために……。小説と演劇、2つの世界で活躍する著者が放つ、魂を震わす物語。
女優を目指す勘違い女と、その姉にいじめられていた妹の復讐劇を描いた作品です。一見、怖い内容なのかと思いきや、本谷有希子ならではの明るいタッチで描かれているので読みやすいです。
見どころは、気持ち悪さの中にあるブラックユーモア
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ [DVD]
佐藤江梨子, 佐津川愛美, 山本浩司, 土佐信道, 上田耕一
アミューズソフトエンタテインメント
また、同作は過去に佐藤江梨子主演で映画化もされています。
小説から入るのが難しい方は、まずはDVDを見てからでもいいかもしれません。小説とDVDを見比べて見る事が出来るので、読みやすいかと思います。
キャストは、佐藤江梨子さん、永瀬正敏さん、永作博美さんと超豪華なので一見の価値ありですよ!
本当にいたら笑えない?適当で診療なんて二の次の精神科医が面白すぎる「イン・ザ・プール」
イン・ザ・プール (文春文庫)
奥田 英朗
文藝春秋
イン・ザ・プールのあらすじ
「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。
見所は、伊良部先生のハチャメチャな診察ぶり
イン・ザ・プール [DVD]
松尾スズキ, オダギリジョー, 市川実和子, 田辺誠一, MAIKO
ポニーキャニオン
この小説の面白い所は、真剣に診察に来ている患者にもふざけてるとしか思えない発言連発する所でしょう。
実際に、こんな医者がいたら訴えられていると思いますが、小説だからこそ面白いのかもしれませんね。
また、こちらの作品も松尾スズキさんとオダギリジョーさんでDVD化されています。
ハチャメチャなストーリーだけど、書評も沢山!
読後感がスカッと爽快な作品です。主人公・伊良部の精神科医としての人格はともかく、患者自身が医学に頼ることなく、最終的には自分自身の力で「本当の幸せとは何か」を見出してゆく作風は素晴らしいと感じました。小難しい理屈や医学の専門用語は用いられておらず、最後までテンポよくサクサク読み進められるのも良いですね。特に気に入ったエピソードは、携帯依存症の高校生の話(「フレンズ」)と、自宅が火事になるかもしれないという妄想に憑りつかれたルポライターの話(「いてもたっても」)です。
変わった病気に悩む患者達と、注射フェチで患者達にとりあえず注射を打ち、普通の神経科では考えられないような対応をする変な医者(伊良部)との話。一つの話が50ページくらいで、短くて読みやすい。伊良部の自由かつ奇抜な治療法が面白い、読んでいて元気になる。悩み事は自分の考えすぎ?と、前向きな気持ちになれる作品。
電車の中では、絶対に読めない?「どくとるマンボウ青春記」
どくとるマンボウ青春記 (新潮文庫)
北 杜夫
新潮社
どくとるマンボウ青春期のあらすじ
18歳のマンボウ氏は、バンカラとカンゲキの旧制高校生活で何を考えたか――。個性的な教師たちと大胆不敵な生徒たちが生み出す、独特の熱気と喧騒に身をまかせながら、ひそかに文学への夢を紡いでいったかけがえのない日々は、時を経てなお輝き続ける。爆笑を呼ぶユーモア、心にしみいる抒情、当時の日記や詩も公開、若き日のマンボウ氏がいっぱいにつまった、永遠の青春の記録。
見どころは、「茶目っ気たっぷりユーモアたっぷりの前半」と「死についての思想が沢山詰まった後半」
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この作品は、ただユーモアたっぷりで笑かせてくれるだけの作品ではありません。戦争を経験された方が描く、死への思想なども描かれており非常に考えさせられる作品でした。
もちろん、ギャグシーンも満載なので電車の中で見るのはオススメしません。つい吹き出してしまいますよ!
書評でも大人気
作家北杜夫のユーモアと機知に富んだとても濃密な青春の記録だった。学校の勉学には身が入らなかったようだが、自分自身の内面と直向きに向き合うこと、やると決意したことにはエネルギーを注いでひた走るという行動力は見習わなければと思う。自分を掘り下げて見つめて行くことは淋しいものだしそれなりの労力がいると思うが作者は逃げずに立ち向かう。そして無駄と思えるようなことも、経験した全てのことが何かしらの意味を持つと振り返る。「なんにもしない俺を、寂しいと思った。」全力で走ろう、前向きな気持ちにさせてくれる作品。
出典:bookmeter.com
ヤクザなのに・・・。ん?みんないい人?「夏 プリズンホテル」
プリズンホテル〈1〉夏 (集英社文庫)
浅田 次郎
集英社
夏 プリズンホテルのあらすじ
極道小説で売れっ子になった作家・木戸孝之介は驚いた。たった一人の身内で、ヤクザの大親分でもある叔父の仲蔵が温泉リゾートホテルのオーナーになったというのだ。招待されたそのホテルはなんと任侠団体専用。人はそれを「プリズンホテル」と呼ぶ―。熱血ホテルマン、天才シェフ、心中志願の一家…不思議な宿につどう奇妙な人々がくりひろげる、笑いと涙のスペシャル・ツアーへようこそ。
見所は、ヤクザなのに皆がいい人でホッコリする所
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ベストセラー「鉄道員」の浅田次郎さんが描くこの作品は、軽いタッチでヤクザの世界をユーモア一杯に描いています。
登場人物のキャラが全員よくて、みんな以外といい人なのでホッコリしますよ。
書評でも大人気
任侠団体専用ホテル「プリズンホテル」で起こるドタバタ劇。ゲラゲラ笑いながらもアツい想いを持ち合わせた登場人物が魅力的で、一気に読了。2巻目に更に期待!
登場人物すべてのキャラ立ちがよく、個性がありすぎ!主人公の木戸孝之助は、頭は良いが人間性ゼロ。叔父でホテルのオーナー沖おじは、ヤクザの頭。そしてここはヤクザのためのホテル。その中で、支配人、板長、シェフがかたぎであるのも…お客も一般人が紛れ込んでいるのも面白い。なんだかみんなが任侠の世界にすんなり入ってしまう。一家心中に、幽霊騒ぎ、熟年離婚…客のたくらみが従業員に関わっていくうちにすべて解決している。みんな一生懸命なのよね。読んでいて気持ちいい。読み終わると、すぐまた彼らに会いたくなってしまう(笑)
おすすめユーモア小説を読んで元気を出そう!
小説と聞くと、ついつい難しいイメージで捉えがちですが、実は軽いタッチで楽しく読める作品が沢山あります。
今回紹介させていただいたおすすめユーモア小説は、落ち込んでいる時や、悩んでいる時に読むと自然と元気が湧いてくるものばかりです。
せっかくの休日、うじうじ過ごすよりもユーモア小説を読んで気分をサッパリさせましょう♪
是非構えずに、軽い気持ちで読んでみてください。
きっと、小説の楽しさに気づくはずですよ。