今回は音楽小説を10選でご紹介します♪音楽をテーマにした小説は、若々しく、でも少しほろ苦いような話が多い気がします。吹奏楽やオーケストラの物語があったり、実際にある有名な曲にまつわる話だったり。どれも読んでいるうちに、頭の中に音楽が鳴り響いてきます。音楽好きの人も、特に興味がない人も、もっともっと音楽が好きになること間違いなしの選りすぐりの小説たちです。ぜひ読んでみて下さいね。
目次
1:くちびるに歌を 中田 永一/著
あらすじ
長崎県五島列島にある中学校の合唱部で、顧問の松山先生が産休に入ることになりました。代わりに一年間顧問をすることになったのが松山先生の友人、柏木先生。合唱部は今まで女子だけでしたが、美人の柏木先生目当てに7人の男子生徒が入部してきます。Nコンに向けて練習する生徒たち。柏木先生は課題曲「手紙~拝啓十五の君へ」を理解するために、彼らに15年後の自分へ手紙を書くようにといいます。その手紙から見えてくるそれぞれの思い、秘密と、男子部員がいることによる反目や恋愛。Nコンまでの日々が描かれます。
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実際にNコンの課題曲となった、アンジェラ・アキさんの「手紙~拝啓十五の君へ」がテーマ音楽です。
中学生から見た15年後というのは、今まで生きてきた倍。
おそらく想像も及ばない年月ですよね。
子どもたちの成長を微笑ましく見守ることができます。
何のために歌うのか…素晴らしい青春小説です♪
2:楽隊のうさぎ 中沢 けい/著
おすすめ
小学校でいじめられていた奥田克久は、中学進学後吹奏楽部に入部します。いじめから心を守るために身に付けた方法は、心を閉ざすこと。そんな克久でしたが、毎日毎日吹奏楽の練習に励んでいくにつれ、その気持ちも消えていきます。顧問のベンちゃんとともに普門館を目指す中学生たちの姿、克久の成長が生き生きと感じ取れます。
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中学の時に部活に打ち込んでいた自分、何もかもが輝いていたあの頃。
そういったことを思い出させる作品です。
全国大会の描写が素晴らしく、指揮者との一体感など目の前で演奏が行われているように感じます。
克久とその親、周りの人の成長物語を存分に楽しめます。
3:ブラバン 津原 泰水/著
あらすじ
赤字続きの冴えないバーを経営している40代の男、田片。彼は高校時代、吹奏楽でコントラバスを弾いていました。ある日その頃の先輩に頼まれ、結婚披露宴のために吹奏楽を再結成しようとします。そこで思い出されるあの頃の青春の日々。その対比となる大人の自分たち。二つの時代がほろ苦く描かれます。再結成はなるのでしょうか。
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タイトルと表紙だけ見ると、中高生が主役のいわゆる青春小説のようですよね。
でも全く違うんです!
大人になってしまった自分たちから見た、青春だったあの頃。
何だか寂しい、物悲しい…大人が読むべき小説です。
4:船に乗れ!Ⅰ 藤谷治/著
あらすじ
新生学園大学付属高校に進学したチェロ弾き津島サトル。音楽一家ながら、ピアノは上達せず、国立の芸術高校にも落ちた結果でした。新生学園で知り合った友人、恋人との日々。音楽の練習に打ち込み、合宿、文化祭、発表会など目白押しのイベントに奮闘する姿。音楽を通しての青春のすべてがここにあります。
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初めての恋愛に心躍る様子や、かき乱される気持ち、自己嫌悪するほどの挫折。
等身大の青春が鮮やかに描かれています。
音楽を知らなくても、その高揚感や緊張感はばっちり伝わってきますよ。
そして登場する曲を聴いてみたくなること間違いなし!
全3巻ですので、ぜひ読んでみてください。
5:アーモンド入りチョコレートのワルツ 森 絵都/著
あらすじ
中学生が主人公の3つの物語。シューマン、バッハ、サティとそれぞれの曲にのせて綴られます。ひと夏の少年たちの友情と別れを描いた「子どもは眠る」と不眠症の少年の淡い恋をテーマにした「彼女のアリア」、そして二人の少女と音楽教室の先生、変なフランス人の4人の交流の話である表題作。どれも子どもから大人へと成長する中での一コマが、爽やかに切なく流れていきます。
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文章が美しく、読んでいると中学時代を思い出し、胸がキュンとします。
子どもと大人の狭間にいる時代。
そこには必ず別れがあり、そして成長するのです。
音楽を聴きながら、ゆったりと読みたい本です。
6:ヒトリコ 額賀 澪/著
あらすじ
小学5年生に金魚を殺したという疑いをかけられ、猛烈ないじめにあっていた日都子。「みんな」には属さずひとりで生活する「ヒトリコ」となります。そんな日都子の心のよりどころはピアノとピアノを教えてくれるキューばあちゃんだけでした。そして、中学から高校へ。そこに、いじめの原因となった金魚を飼い、転校した冬季が戻ってきます。冬季は変わってしまった日都子に驚き、そして…。
♪ここがおすすめ♪
新人ながら小学館文庫小説賞、松本清張賞を受賞した作品です。
青春時代特有の残酷さが読んでいてつらい気持ちになります。
でも、少しずつ変わっていくヒトリコ。
その心を溶かしてくれる少ないけれども、かけがえのない友人の登場。
「ヒトリコ」の人を始めすべての人に勇気を与えてくれます。
7:やさしい訴え 小川 洋子/著
あらすじ
ピアニストになる夢を諦めチェンバロの制作をしている男、恋人を愛人に刺殺され、今はチェンバロ職人になろうと弟子入りしている独身女性。そこに現れた、夫に愛人がいて家庭崩壊しているために逃避してきた人妻。三人が織りなす関係は…。そして、均衡が崩れた後に訪れるものとは…
♪ここがおすすめ♪
目の前に情景が浮かんでくるような文章の中、恋愛の苦しみが繊細に語られます。
美しい三角関係とでもいうのでしょうか。
最初から最後までチェンバロ曲「やさしい訴え」が流れ、小川洋子さん独特のやさしい文体が心に染み渡ります。
8:モデラートでいこう 風野 潮/著
あらすじ
元男子高校が共学になった年、奈緒、ノリコ、真琴、恵美の新入生4人は吹奏楽部に入部することにしました。先輩はもちろん全部男子。予想よりキツイ練習や男子しかいないことでのトラブル、そして恋と友情。4人+次の年の新入生女子4人の視点で描かれる吹奏楽部ライフ。等身大の女子高生の日常と成長がここにあります。
♪ここがおすすめ♪
それぞれの人物の視点で語られる様子は、人生は自分が主人公だと感じられます。
そんなに大きな事件が起こるわけでもない、盛り上がりに欠ける。
でもそれが本当の高校生活かもしれません。
さらりと読める、吹奏楽に青春を捧げる女の子たちの成長物語です。
9:疾風ガール 誉田 哲也/著
あらすじ
インディーズロックバンドのギタリスト、柏木夏美19歳。その夏美に惚れ込みスカウトしようと必死になっている業界事務所の宮原祐司29歳。二人は突然自殺してしまった、ボーカルの薫の死の真相を探し始めます。その中で薫は偽名だと分かり、二人はさらに真実を求めていきます。
♪ここがおすすめ♪
疾風ガールのタイトルに相応しい元気いっぱいの夏美が魅力的です。
絶対的な天才という存在には恐れおののきますが…。
夏美と祐司のそれぞれの視点が交互に現れ、とても読みやすいです。
読後の爽快感も最高!
10:退出ゲーム 初野 晴/著
あらすじ
廃部寸前の吹奏楽部でフルート奏者の高校一年生チカと幼馴染のホルン奏者ハルタは同じ顧問の草薙先生を好きになります。ハルタは女の子のように整った完璧な顔立ちで、頭脳も明晰なのですが、3人の姉たちのせいで女性に興味がないのです。廃部を避けるために先生と共に練習に励む二人でしたが、次々と校内の難事件に巻き込まれそれを解決していくことに…。仲間は増えるのか、恋愛はどうなるのか、そして吹奏楽部の存続は?
♪ここがおすすめ♪
さわやかな青春ミステリーです。
高校時代にはいろいろな事件、悩みがおこりますよね。(もちろん犯罪行為はなし!)
そんな事件を二人が解決していきます。
軽く読めますが、意外とシリアスな話もあり、奥が深いです。
まとめ
音楽って不思議ですよね♪
メインにもなりバックにもなり、一体となれるし文字で表すこともできる。
やはりNo Music No Lifeかな、と思います。
ぜひ音楽が流れる小説を楽しんでくださいね。