ディズニー映画はピクサーと共同制作しています。2016年3月12日公開予定の新作映画『アーロと少年』も待ち遠しいディズニー・ピクサー作品ですが、全作品観たことはありますか?昨年公開した『インサイド・ヘッド』もDVD/BDともに発売されていますし、見逃しているディズニー・ピクサー作品を観ておきたいですね!ここでは『トイ・ストーリー』から『インサイド・ヘッド』までの長編15作品をご紹介します!
目次
『トイ・ストーリー』(1995)
《世界初のフルCG長編アニメーション映画!「史上最高のアニメ映画50」第1位!》
ディズニー配給・ピクサー制作の長編アニメ映画第1弾で、監督はジョン・ラセター。1999年には『トイ・ストーリー2』、2010年には『トイ・ストーリー3』とシリーズ化されました。その後もスピンオフ作品が3作制作され、2018年にはシリーズ新作『トリ・ストーリー4』が公開される予定です!
〈観どころ&聴きどころ〉
少年アンディのお気に入りのおもちゃたち―実は彼らは生きていたのです!自由に動いて話せるおもちゃたちの大冒険を描いた「トイ・ストーリー」シリーズの見どころは何と言っても、個性的なおもちゃたちの動き!今はフルCGアニメの認知度も高いですが、この作品の公開当時はまだ“フルCG”の意味も意義もあまり浸透していませんでした。当時感嘆したのはスリンキー・ドッグの腹のバネの動きです!
また今でもシリーズで当たり前のように聴いている主人公ウッディーとバズ・ライトイヤー二人の声は、原語版ではトム・ハンクスとティム・アレン、日本語吹替版では唐沢寿明と所ジョージですね!このコンビはもう定番。もう一つの定番はテーマ曲「You’ve got a friend in me」で、ランディ・ニューマンとライル・ラヴェットのデュエット曲です。日本語版ではダイヤモンド☆ユカイが「君はともだち」として歌っています。
https://www.youtube.com/watch?v=nMN4JZ8crVY&feature=youtu.be
〈人気キャラとトリビア〉
『トイ・ストーリー』の人気キャラと言えばもちろん、アンディ一番のお気に入りのカウボーイ人形ウッディと、彼のライバルとなるスペースレンジャー人形のバズ!二人の友情物語でもあります。
この作品に登場するおもちゃには実際にアメリカで販売されている実在のものが多数あります!中でも特に印象的なものは、ホットウィールやMr.ポテトヘッド、動きが面白いスリンキーやバレル・オブ・モンキーなどなど―よく知っているおもちゃが動いてしゃべるなんて子どもたちにとっては夢のようですね!
『トイ・ストーリー2』(1999)
《大ヒットシリーズの第2弾!ウッディが超プレミアのレア・グッズ!?日本の博物館へ?》
ジョン・ラセター監督による「トイ・ストーリー」シリーズ2作目は、ウッディの“過去編”とも言える内容です!かつて大人気だった人形劇『ウッディのラウンドアップ』の主役だったウッディは、おもちゃマニアのアルに盗まれてしまいます。日本のおもちゃ博物館に売却されてしまうのを阻止しようと、バズたち仲間が助けに行きます!この作品はその年のゴールデングローブ賞ミュージカル・コメディ部門の作品賞を受賞しています。
〈観どころ&聴きどころ〉
今作の観どころは、ジェシーたち『ラウンドアップ』の仲間たちとニューアクションベルト付きバズ・ライトイヤーです!
ジェシーは『ラウンドアップ』に登場するカウガールで、ウッディの妹。エミリーという女の子に大切にされていましたが、忘れられ捨てられた過去を持っています。彼女の回想で流れるサラ・ブライトマンが歌う「When She Loves Me」は、自分が子どもの頃に大切にしていた人形のことを思い出したりして胸が熱くなり、涙を誘います。
バズの最新版として売り出された「ニューアクションベルト付き」タイプは、昔のバズのように自分が本物のスペースレンジャーと信じ込んでいて、ウッディの仲間たちのバズと入れ替わって混乱する場面もあり、こちらは笑わずにはいられません!
https://www.youtube.com/watch?v=82ceZYlyifU&feature=youtu.be
〈人気キャラとトリビア〉
前作から登場していたキャラで『トイ・ストーリー2』にも出て大人気となったエイリアンたちは、“リトル・グリーン・メン”として今作から3人組で登場!Mr.ポテトヘッドに助けられ「命の恩人、感謝永遠に」と言いながらアンディの家までついてきてしまいます。それ以降はポテトヘッド夫妻の養子として暮らし、『トイ・ストーリー3』ではなんとラストで大活躍します!日本でのエイリアン人気を知ったピクサーのスタッフが今作での出番を増やしたというトリビアもあります。
このエイリアンたちは元々アンディが大好きなレストラン「ピザ・プラネット」のUFOキャッチャーの景品で、この「ピザ・プラネット」の車はピクサーのほぼすべての作品に”隠れアイテム”として登場しています。こんなアイテムを探すのもピクサー作品の楽しみの一つ!
『トイ・ストーリー3』(2010)
《『さよならなんて、言えないよ…』おもちゃたちが捨てられる!?ウッディたちの最後の冒険!》
「トイ・ストーリー」シリーズ3作目は、アンディが青年になり、ウッディたちから去っていくことを物語のメインテーマとしており、子どもより大人がグッとくる内容になっています。ディズニーデジタル3D作品として、日本では主に3D吹き替え版で上映されました。3部作として本編はこの作品で完結していますが、その後すでに5作ものスピンオフ作品が「トイ・ストーリー・トゥーン」シリーズとして制作されています。
〈観どころ&聴きどころ〉
今作の観どころは、サニーサイド保育園でのおもちゃたち同士の闘いとリセットされたバズです。手違いと勘違いでアンディの家を去り、近所のサニーサイド保育園に寄付されたバズたち。一見おもちゃの天国に思えた場所は、実は“やさぐれた”ハグ・ベアのロッツォが支配する「おもちゃの地獄」だったのです!しかしロッツォがなぜ心を歪めてしまったのかを知ると、また涙が…!
そのロッツォがバズを操るためにリセットボタンを押し、バズはいわゆる“初期化”状態になってしまいます。そんなバズを修理しようとするも、手違いでスペイン語バージョンになり、やたらラテン系になったりと、今回もバズはコメディパートでも大活躍です!ジェシーへの恋心も観どころの一つ。
ラストではジェシーとバズで、ジプシー・キングスが歌うスペイン語版「君はともだち」で情熱的に踊るシーンもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=c4PrhNFU4TU&feature=youtu.be
〈人気キャラとトリビア〉
今作で大活躍するのが、サニーサイドのケンとアンディの妹モーリーのバービー人形!2人はサニーサイドで出会って恋に落ちます。もちろんバービーもケンも実在のおもちゃ!ケンは実際にバービーのボーイフレンドとして作られています。
悪役として登場するロッツォも、元々はピンクの可愛いハグ・ベア。このロッツォ、実は本作公開前に『カールじいさんの空飛ぶ家』にちらっと登場しています!
また、ジブリの『となりのトトロ』の大トトロがおもちゃとして登場しているシーンもあります。
『バグズ・ライフ』(1998)
《ピクサー長編アニメ第2弾!“アント・アイランド”に住むアリが都会を目指して大冒険!》
ジョン・ラセター監督、「トイ・ストーリー」のスタッフによるピクサー長編2作目は、虫の世界を描いた冒険物語!イソップ童話をモチーフとした内容で、主人公はちょっとドジだけど発明が得意なアリのフリックです。そしてアリたちを働かせるホッパーたち“バッタ一味”に立ち向かうため、フリックは都会へ用心棒探しへ!そこで出会ったのは虫のサーカス団で、なぜか用心棒として“アント・アイランド”へ来ることになってしまいます。
〈観どころ&聴きどころ〉
製作に当たり採用された最新式コンピューターの処理能力は、なんと「トイ・ストーリー」の十倍!これにより、霧・雨・稲妻・炎などの気象や、羽ばたきなどキャラクターたちの虫らしい動きがとてもリアルに表現されています。
テーマソングは「トイ・ストーリー」に続きランディ・ニューマンで、「The Time of Your Life」。また、今作から始まったエンディングで流れるNG集は、その後『トイ・ストーリー2』『モンスターズ・インク』でも制作されました。
https://www.youtube.com/watch?v=mWlMk7sPPNg&feature=youtu.be
〈人気キャラとトリビア〉
ストーリー展開に参考としたのは、黒澤明監督の『七人の侍』やそのハリウッド・リメイク『荒野の七人』だそうで、たしかにフリックが“用心棒”探しに出かけ、サーカス団を連れて帰ります!
そしてそのサーカス団の面々がとても個性的です。がめついノミの団長P.T.フリーや大きいのに臆病なカブトムシ・ディム、まつ毛の長いオスのテントウムシ・フランシス、道化師のイモムシ・ハイムリック、サーカスの小道具的存在のナナフシ・スリムなどなど、すぐに思い出せるキャラばかり!ハイムリックは『トイ・ストーリー2』のNG集にも主人公のフリックとコンビでゲスト出演しています。
『モンスターズ・インク』(2001)
《ピクサー長編アニメ第4弾!モンスターの世界から“怖がらせ屋”がやってくる!》
ジョン・ラセターが製作総指揮になり、ピート・ドクターが初監督を務めたピクサーの長編アニメ4作目です。子どもたちを怖がらせ、その叫び声をエネルギーとしているモンスターの世界で“怖がらせ屋”として働くサリーとマイクのコンビが主人公!
タイトルの『モンスターズ・インク』は原題『Monsters,Inc.』で、「モンスターズ社」という意味。サリーたちが勤めている会社のことですね!
〈観どころ&聴きどころ〉
この作品の一番の観どころは「サリーの毛並」かもしれません!なんと232万413本もの毛をフルCGで表現しているのです。確かに動くたびにフサフサ揺れる様は一度触ってみたくなるほど!相棒のマイクの一つ目も、大きくギョロッとした動きには驚かされます。
この2人の声を当てているのが、原語版ではサリーをジョン・グッドマン、マイクをビリー・クリスタル。そして日本語吹き替え版では石塚英彦と田中裕二が演じています。本作の主題歌「君がいないと」を歌うのも、このグッドマン&クリスタルと石塚&田中コンビ!この曲はエンディングNG集で流れています。また第74回アカデミー賞で歌曲賞を受賞しています。
https://www.youtube.com/watch?v=oQ5_jiSnWC0&feature=youtu.be
〈人気キャラとトリビア〉
この作品で人気のキャラと言うと、主役のサリーとマイクを除けば、もう一人の主人公とも言える女の子・ブー。サリーに“ブー”と名付けられましたが、本名はメアリー・ギブス。まだ言葉もうまく話せないほど幼い彼女に、“にゃんにゃん”と呼ばれて懐かれてしまうサリーの慌てっぷりが面白いです!
実はブーのモデルはスタッフのロブ・ギブスの娘で当時2歳だったメアリー本人。作中のブーの部屋には『ファインディング・ニモ』のニモ人形や『トイ・ストーリー2』のジェシー人形が置いてあります!ぜひ見つけてみてください。
『モンスターズ・ユニバーシティ』(2013)
《『モンスターズ・インク』の続編!サリーとマイクの出会いと大学生活を描く!》
前作の監督ピート・ドクターが製作総指揮となり、ダン・スキャンロンが監督を務め、前作と同じ声優陣、音楽もピクサーお馴染みのランディ・ニューマンで続編が製作されました。今作は前作の前日譚に当たり、マイクがなぜ“怖がらせ屋”に憧れてモンスターズ・ユニバーシティ(MU)に入ったのか、どうやってサリーと親友になったのかが描かれています。
〈観どころ&聴きどころ〉
続編の大きな観どころは、マイクがMUで出会う仲間たちとの「怖がらせ大会」!この大会にはサークルで出場し、MUには数々の個性的なサークルが存在します。
マイクとサリーの落ちこぼれ組が入ることになる“怖くない”のほほんとしたサークル「ウーズマ・カッパ」(OK)をはじめ、MU随一のエリート・サークル「ロアー・オメガ・ロアー」(RΩR)やマッスル系サークル「ジョーズ・シータ・カイ」(JΘΧ)など、アメリカの伝統的なサークル文化“フラタニティ”をモチーフとしたものが登場します。サークル名にギリシャ文字を使うのが特徴です!
また、この作品のサントラにはスウェディッシュ・ハウス・マフィアが挿入曲「ロアー」を提供しています。この曲は予告編や劇中のサークルのパーティシーンで使われています。
https://www.youtube.com/watch?v=h0e4r_MRYCM&feature=youtu.be
〈人気キャラとトリビア〉
この作品での人気キャラはやっぱり主人公のサリーとマイク。しかもちょっと若い2人を見られるところがポイント!特にサリーは頭の毛をオシャレにセットしています。そしてマイクにはなんと歯の矯正器具が!スタッフの、2人を若く見せる努力がうかがえます。
また、前作から登場しているライバル役のランドールは、やっぱり“悪役顔”ですが、メガネをかけていて、まだ目がパッチリしています。前作では目を細めた完璧な“悪い”顏ですが、目が悪いという設定だったんですね!
『ファインディング・ニモ』(2003)
《ピクサー長編第5弾!カクレクマノミのニモとマーリンの海洋大冒険物語!》
ピクサーの長編アニメ5作目は、アンドリュー・スタントン、リー・アンクリッチ監督による魚を主人公・海を舞台とした物語です。フル3DCGで描かれた作品で、2012年には『ファインディング・ニモ 3D』が公開されました。「ニモ」の名前は、ジュール・ベルヌの『海底二万里』の主人公ネモ船長から採用されています。
舞台はオーストラリアのグレートバリアリーフ近海。人間に捕まったニモを探して大冒険をするのは、ニモの父マーリン!ナンヨウハギのドリーを相棒に、ニモを探す旅に出ます。
2016年7月1日にはこの作品の初の続編となる『ファインディング・ドリー』が公開される予定です!この作品ではマーリンの相棒ドリーが主人公となります。
〈観どころ&聴きどころ〉
この作品の観どころは、グレートバリアリーフ近海を舞台にしているため、美しい海洋の描写と、そこに住む多様な海の生き物たちに尽きます!海面から海底へ差し込む光や、光も入らない底の暗さなど、様々な海の表情に見入ってしまいます。
日本語吹き替え版では、マーリンを木梨憲武、ドリーを室井滋が声を当てています。また、カニ役でドランクドラゴンがコンビで登場したり、いわゆるモブキャラでLiLiCoやさかなクンが声を当てている魚がいます!どの魚かわかりますか?
この作品の主題歌は名曲「Beyond The Sea」をロビー・ウィリアムズが歌っています。3D版予告編でも流れています!
https://www.youtube.com/watch?v=LGHuIWFDODo&feature=youtu.be
〈人気キャラとトリビア〉
ニモが人間に捕まって入れられる水槽に住む魚たちは“タンク・ギャング”と呼ばれていて、ニモの脱出計画に協力する仲間となります。特にボスのツノダシ・ギルは仲間思いの親分肌!
海の住人たちにも“サメ・トリオ”のブルース、アンカー、チャムの三匹組がいて、なぜか「海藻食主義」。なのに血の匂いを嗅ぐと凶暴になってしまいます。実はそれまでのディズニー映画では一切流血シーンはなかったそうで、今作がディズニー初の流血あり作品なのです!
その他にもたくさんの魅力的なキャラクターが登場しますが、マーリンについてのトリビアを一つ。カクレクマノミはイソギンチャクに共生する魚で、同じイソギンチャクに何匹か一緒に住み、一番大きい個体がメス、二番目がオスと決まっています。もしメスがいなくなれば、二番目に大きいオスがメスに「性転換」するそうです!心配性のマーリンは実はすでに「お母さん」になっていたのでしょうか!?
『Mr.インクレディブル』(2004)
《長編アニメ6作目にして初の人間社会を描いたアクション・ヒーロー活劇!》
ブラッド・バード監督によるピクサー長編アニメ第6弾は、原題『The Incredibles』の通り「インクレディブル一家」の物語です。家族全員が何らかのスーパーパワーを持っていて、以前は“スーパーヒーロー”として世界の平和を守っていました。特別な力を持つ者を“異端者”扱いする人間社会で、その力ゆえ苦労する様子を描いた少し大人向けの作風ですが、アメコミを意識した音楽や描写で、純粋な「ヒーローもの」として楽しめる作品となっています!
〈観どころ&聴きどころ〉
この作品の観どころは、ピクサー作品の中では初めての人間を主人公としたヒーロー・アクションである点!人間の髪や着ている服などの物質感を忠実にCGで再現しています。アクションシーンも前述したように、アメコミを意識した作りになっていて、シャープな動きにも注目です!
マイケル・ジアッキーノによる60年代スパイ映画風の「スーパー・クレジット」が流れるエンド・クレジットでは、アニメーションも音楽もスタイリッシュでカッコいいです。日本語吹き替え版で声優を務めたのは、Mr.インクレディブルを三浦友和、その妻・イラスティガールを黒木瞳、そして長女のヴァイオレットを綾瀬はるかです。敵役のシンドロームは宮迫博之で、顔も似ている?と話題になりました。
https://www.youtube.com/watch?v=nJtUdm3TLZ8&feature=youtu.be
〈人気キャラとトリビア〉
この作品の監督ブラッド・バードは、“アニメ界の神童”と呼ばれた人物で、評価の高い作品『アイアン・ジャイアント』でも有名ですが、作中登場するかなり個性的なキャラクター、デザイナーのエドナ・モードの声優も務めています!どう聞いても女性の声に聞こえるから不思議です。
しかし今作の人気キャラと言えばやはり「インクレディブル一家」の5人!父ボブ・パー、母ヘレン、長女ヴァイオレット、長男ダッシュ、そして次男で赤ちゃんのジャック=ジャック。彼らのスーパーパワーには実はそれぞれアメコミの影響が!ボブはスーパーマン、ヘレンは『ファンタスティック・フォー』のMr.ファンタスティック、ヴァイオレットは同作品のインヴィジブル・ウーマン、ジャック=ジャックも同作品のヒューマン・トーチ、そしてダッシュは『X-メン』のクイックシルバーです。どんな能力かは、ぜひ作品を見て確かめてください!
『カーズ』(2006)
《登場するのはすべて車!車目線で「クルマの世界」を描いたカー・アクション作品!》
ピクサーの長編アニメ7作目は、ジョン・ラセター、ジョー・ランフト監督による車好きによる車好きのための「クルマ」しか登場しない作品!その徹底ぶりにはびっくり!なんと虫や牛など別の生き物まで「クルマ」として描かれています。
人気の高さから2011年には、ピクサーでは『トイ・ストーリー』以来の続編も制作され、他にも、人気キャラクター・メーターのスピンオフ作品『メーターと恐怖の火の玉』と短編アニメシリーズ「カーズトゥーン メーターの世界つくり話」9本が制作されました。
〈観どころ&聴きどころ〉
もちろん観どころはカーレースシーン!実写のカー・アクション映画さながらのリアルなレースに驚かされます。けれど『カーズ』にはドライバーは乗っていません。車が自らレーサーとしてレースに出場して、レース中も車同士でしゃべったり駆け引きしたり…これにはすっかり見慣れた今でもやはり面白く新鮮に目に映ります!スピード感もすごい!!
日本語吹き替え版のキャストでかなり話題になったのが、メーター役の山口智充。今や彼以外のメーターの声は考えられません!他にもイタリア訛りのフィアット500のルイジは、パンツェッタ・ジローラモ、レースの実況を担当するボブ・カトラスとダレル・カートリップを赤坂泰彦と福澤朗が声を当てています。
ピクサー作品では珍しく歌が入った曲が何曲も挿入歌として使われていますが、特にオープニングを飾るシェリル・クロウの「リアル・ゴーン」は文句なしにカッコいいです!
https://www.youtube.com/watch?v=RQWIWNcC8jQ&feature=youtu.be
〈人気キャラとトリビア〉
今作では断然主人公の天才レーサーカーのマックィーンと、彼の親友となるレッカー車メーターが人気キャラ!彼らの友情物語でもあります。また、マックィーンの師となる伝説のレーサーカー・ドック・ハドソンは、原語版ではポール・ニューマンが演じており、『カーズ2』ではポール・ニューマンが亡くなったため、ドックも作中では登場せず、ラジエーター・スプリングスにドック・ハドソン記念博物館ができています。
この作品には本物のレーサーが声優として参加しており、フェラーリ・F430のミハエル・シューマッハの他にもデイル・アーンハートJr.やマリオ・アンドレッティも声を当てています!またドイツ語版ではニキ・ラウダとミカ・ハッキネンが声優として参加しています。
日本ではトミカから「カーズ」シリーズで各キャラクターのミニカーが販売されていますが、マックィーンとメーターは『カーズ2』とスピンオフ作品での形態での違うタイプが何種類も作られています!
『カーズ2』(2011)
《クルマの世界を描く『カーズ』第2弾!今度はワールド・グランプリで世界4都市へGO!》
ジョン・ラセター監督による第2弾『カーズ2』では、マックィーンとメーターがワールド・グランプリへ!日本、イタリア、フランス、イギリスで行われるグランプリ・レースを舞台に、メーターがスパイになって、グランプリの裏で仕掛けられる陰謀をスパイカーたちと解決していくというストーリーです。前作で登場したラジエーター・スプリングスの仲間たちはもちろん、今作では数多くのレースカーや新キャラたちが登場します!
〈観どころ&聴きどころ〉
この作品では、マックィーンたちがめぐる世界の街並みが一番の観どころ!東京では銀座のネオンのきらめきや夜の東京でのナイト・レース、イタリアでは架空の町ポルト・コルサが舞台となり、美しい海岸線を走るレースを描いています。パリでは凱旋門やエッフェル塔、ノートルダム寺院も“クルマ化”されています!ぜひチェックしてみてください。
ワールド・グランプリ最後の舞台ロンドンでも様々な“クルマ化”が施され、セントポール大聖堂やビッグベン、バッキンガム宮殿も登場しています。
また、アメリカのバンドThe Carsの名曲「You Might Think」を、この作品のためにWeezerがカバーしています。本編の日本でのパーティシーンや日本語版エンドロールでは、Perfumeのポリリズムが使用されています!
https://www.youtube.com/watch?v=KyT1_jEx6eY&feature=youtu.be
〈人気キャラとトリビア〉
ピクサー作品の中でも最多キャラクターが登場する本作。マックィーン最大のライバルとなるイタリアのF1レーサーカー、フランチェスコ・ベルヌーイの他、各国のレースカーがグランプリに出場しています。マックィーンの友人として登場するイギリスのルイス・ハミルトンは実在のF1ドライバーで、声を当てているのも本人!車の配色を決めたのもハミルトン自身です。
グランプリの陰謀を探っているイギリスのベテラン・スパイカーのフィン・マックミサイルは、まるでイギリスのスパイ007のボンド・カーで登場するアストンマーチンDB5のような外観!このマックミサイルの声を原語版で当てているのは、イギリスの名優マイケル・ケインで、イギリスのスパイ映画『国際諜報局』で一躍人気を得た人物。その他作中では007のオマージュとも言えるシーンがたくさん出てきます!劇中ではメーターも彼にスパイカーに改造されてしまいます。
『レミーのおいしいレストラン』(2007)
《『Mr.インクレディブル』に続き人間社会を描いた長編第8弾!主人公は料理好きなネズミ!?》
『Mr.インクレディブル』の監督ブラッド・バードが、ヤン・ピンカヴァの後を継いで監督したピクサーの長編アニメ8作目の舞台はフランス・パリのレストラン!なのに主人公はネズミ!?という異色の作品です。
スタッフたちはこの作品のためにフランスへ行き、フランス料理の講習を受け、レストランの厨房見学もしたそうです。原題の『Ratatouille』とはフランスの家庭料理「ラタトゥイユ」のことで、作中でも重要な料理として登場します!主人公レミーがネズミということで、“Rat”にかけた言葉遊びにもなっています。
〈観どころ&聴きどころ〉
フランス料理界の巨匠グストーに憧れ、パリに流れ着くレミーと、グストーのレストランで雑用係として働くリングイニの2人が協力して作り出す、おいしそうな料理の数々が本作の観どころ!特に料理批評家イーゴにふるまう勝負の料理「ラタトゥイユ」は、今までに見たこともないようなカラフルでおいしそうな一品です。その再現料理を作ってネットにアップしている人も多いようです。
また、この「料理を作るネズミ」という意表をついたテーマが、後半さらに加速!レミーの仲間たちが手伝いに来るシーンでは、大勢のネズミたちが厨房へ…!そのネズミたちの毛並みのフワッとした感じなどは素晴らしい出来栄え。これぞまさに「先入観への挑戦」です!
今作の主題歌はカミーユが歌う「ごちそう」。原題は「Le Festin」で、すべてフランス語で歌われています!
https://www.youtube.com/watch?v=_nRosw-sY8s&feature=youtu.be
〈人気キャラとトリビア〉
日本語吹き替え版では佐藤隆太が演じたアルフレード・リングイニ。この名前の由来は、クリームソースの一種である“アルフレード”と、ロングパスタの一種である“リングイネ”から。ちなみにリングイニはリングイネの複数形です!
また、監督が同じためか『Mr.インクレディブル』からの隠れキャラやアイテムがいくつか登場します。敵役だったボム・ボヤージュがリングイニのデートシーンの中でカメオ出演していたり、リングイニのはいているトランクスの柄がMr.インクレディブルだったり…これも探しながら観ると楽しいですね!またちなみに、レミーの毛は115万70本だそうで、サリーの毛よりはだいぶ少ないですが、体の比率から考えると…レミーはサリーよりもフッサフサ!
『WALL・E/ウォーリー』(2008)
《ピクサー初の宇宙を舞台にした長編アニメ第9弾!ロボットのラブ・ストーリー!》
『ファインディング・ニモ』のアンドリュー・スタントン監督によるピクサーの長編アニメ9作目は、汚染された地球にたったひとり残されたゴミ処理ロボットWALL・E(ウォーリー)の物語です。人類が地球を去って700年、ただひたすらゴミを処理し続けてきたウォーリー。そこへ突然宇宙からやってきたロボットEVE(イヴ)と出会い、恋に落ちるのです!またある日突然宇宙船がイヴを回収に来て、ウォーリーはイヴを追いかけ、宇宙へ飛び出すことになります。
「ロボットが感情を持つ」ということと「汚染された地球」が大きなテーマとなっています。
〈観どころ&聴きどころ〉
ゴミの細かい描写とサビた質感の表現も秀逸な本作。壮大なゴミのビルが立ち並ぶ地球から始まるこの物語は、ウォーリーが宇宙に出て、地球を捨てた人類が住む宇宙船アクシオムにつくまで、ほぼセリフなし!けれど音楽を愛するウォーリーが、カセットやiPodらしきものでかける曲は、アップテンポの楽しい曲ばかり。700年もの孤独に耐えてきたウォーリーの“気持ち”がうかがえます。その中でも特にポイントとなる、ウォーリーが「誰かと手をつなぎたい」と願う、いつも見ている『ハロー・ドーリー!』のワンシーン。思いを寄せるイヴと手をつなぐことができるのかが気になります!
また、エンドロールで流れるピーター・ガブリエル作の主題歌「Down to Earth」はこの作品の世界観にピッタリで、エンドロールではウォーリーとイヴのその後も描かれています。
https://www.youtube.com/watch?v=hscu7cc1_2Y&feature=youtu.be
〈人気キャラとトリビア〉
この作品随一の人気キャラ・ウォーリー!ロボットなのに感情に満ち溢れた仕草と、その寂しがり屋で愛らしい“表情”にグッときます。またイヴを想う一途な“心”にも必ず魅了されます!相棒のゴキブリ・ハルも愛嬌たっぷりです。イヴは初めはクールな感じですが、目だけの表現で様々な感情を見せるようになると、とっても愛らしく見えます!劇場パンフレットによればイヴは「iPodがロボットになったような美しさ」とのこと!確かに白い流線型のスリムボディはウォーリーが魅了されるほどの美しさが凝縮されています。
また、ウォーリーが宇宙船に張り付いて宇宙空間へ飛び出すシーンでは、地球の上の宇宙ゴミ(スペースデブリ)の中に、スプートニク1号が混じっていて、最後までウォーリーの頭に引っ付いています。月面にはアポロ月面着陸船やアメリカ星条旗、月面車などが残っている様子も描かれています。
『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009)
《ピクサー初の3D版同時公開!10297個の風船をつけた空飛ぶ家で大冒険へ!》
ピクサーの長編アニメ10作目は、ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン監督による初の3D版が劇場公開された作品です。物語は妻エリーと2人で幸せに暮らした家が立ち退きを迫られ、思い出の家丸ごと飛ばして空の大冒険へ出るカールが主人公のアドベンチャー!
家を飛ばす道具はなんと1万個以上もの風船。78歳のカールじいさんと共に旅に出ることになる相棒は8歳の少年ラッセル。この物語では彼の友情と家族の愛も描かれます。
〈観どころ&聴きどころ〉
もちろん一番の観どころは、カールじいさんの家が風船で浮き上がって行くシーン!原題も『Up』という一語でこの重要なシーンをよく表しています。
そしてこの空飛ぶ家がどこへ向かっているか、というのがポイント!カールじいさんはエリーを連れて行くと約束した“伝説の滝”パラダイス・フォールへ旅に出るのです。
そのことは、カールとエリーの結婚生活が映し出されるシーンで語られます。5分足らずの曲「Married Life 幸せな結婚生活」が流れるこのシーンだけで、無口なカールがいかにエリーを愛していたかがわかり、パラダイス・フォールへの想いが強いかがわかります。2人のお互いを思いやる姿に目頭が熱くなるシーンでもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=1G371JiLJ7A&feature=youtu.be
〈人気キャラとトリビア〉
この作品はカールとラッセルの「年の差コンビ」のやり取りがコメディタッチで面白いのと、カールとエリーが子どものころに憧れていた冒険家チャールズ・F・マンツの犬軍団の落ちこぼれ犬ダグのダメっぷりとおしゃべりがポイント!
このダグの首輪についているのが、タカラトミーの犬用玩具「バウリンガル」をモデルとした犬語翻訳機です。
カールじいさんの容姿は往年の名優スペンサー・トレイシーがモデルとなっているそうです。確かに髪型と四角い顔はそっくりです!晩年の名作『招かれざる客』を参考にしたのかもしれません。
ちなみに「パラダイス・フォール」のモデルは、南米大陸北部のギアナ高地に実在する「エンジェル・フォール」という滝です。
『メリダとおそろしの森』(2012)
《ピクサー初の女性主人公!初のフェアリーテールの舞台は中世のスコットランド》
ピクサー作品初の女性監督ブレンダ・チャップマンが途中まで手掛け、マーク・アンドリュース監督が仕上げた、ピクサーの長編アニメ11作目です。
メリダというスコットランドの王女を主人公とした、人間社会とフェアリーテールを融合した作品で、ピクサー作品の中では一番ディズニーらしい物語ともいえます。魔女や魔法が登場し、ダークで大人向きの物語となっています。
原題の『Brave』は「勇敢な」という意味の他に「すばらしい」や「困難に立ち向かう」という意味があり、この作品の重要なテーマを示しています。
〈観どころ&聴きどころ〉
サウンドトラックは全編スコットランド民謡を意識した作りで、マムフォード&サンズによるテーマ曲「Learn Me Right」はエンディングで使われています。
メリダが自分の運命を変えるため、入ってはいけない森へ行き、人間が使ってはいけない魔法を魔女に頼むシーンでの、暗い森の描写やスコットランドの自然の壮大さは、この作品の大きな観どころ!
また、日本語吹き替え版では、メリダの声を大島優子が演じています。
https://www.youtube.com/watch?v=7NDRgOFGLH0&feature=youtu.be
〈人気キャラとトリビア〉
ピクサー初の女性主人公となる本作では、今までのピクサー作品にはなかった「母と娘」の物語が魅力となっています。メリダが「自由になりたい」と思うのは、母のエリノア王妃からであり、森の魔女に魔法をかけることを願い、熊にされてしまうのが、このエリノア王妃です。
この2人の確執と和解の過程が一本の軸となっています。
また、ピクサー恒例の他作品との関わりはこの作品でも健在!必ず次回作の主役キャラがどこかに登場しているというトリビアでは、『モンスターズ・ユニバーシティ』のサリーが木彫りの置物の中に絵として刻まれています。ほぼすべての作品に登場する「ピザ・プラネット」の車も同様に木彫りの置物として登場しています!
『インサイド・ヘッド』(2015)
《“これは、あなたの物語―”ピクサー最新作は人間の「感情」をテーマにした作品》
今年公開されたピクサーの長編アニメ12作目で、ピート・ドクター監督による最新作!本作の主人公は11歳の少女ライリー、とその頭の中!?
彼女の中にある5つの感情「ヨロコビ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」そして「カナシミ」。彼らはライリーが生まれた時から共に存在し、彼女を守ってきました。
しかし「カナシミ」の本当の役割だけは秘密に包まれているのでした…人間の感情=“心”を題材にした、ピクサーならではの深い作風が印象的で画期的な新作です!
〈観どころ&聴きどころ〉
今作の観どころは、ずばり人間の頭の中!ライリーだけでなく、キャッチコピー通り誰にでも当てはまる物語で、その感情たちと頭の中にある様々な世界観は、ピクサーお得意の“イマジネーション”の宝庫!
ライリーの頭の中には、「ドリーム・プロダクション」があり、ライリーが頭の中で生み出した様々なキャラクターも住んでいます。
日本語吹き替え版では、今作の真の主人公と言える「ヨロコビ」を竹内結子が、「カナシミ」を大竹しのぶが演じています。
また、日本版の主題歌はドリカムによる「愛しのライリー」!この曲も聴きどころの一つですね。
https://www.youtube.com/watch?v=0i6X895wRYE&feature=youtu.be
〈人気キャラとトリビア〉
ライリーの感情の中ではヨロコビがリーダー的存在で、カナシミが重要な役割を果たしています。ヨロコビのキャラデザインは、妖精や体操選手、オードリー・ヘプバーンをイメージして作られました。
また、感情たちの役名は日本語版はもちろん、世界42か国で、それぞれの言語でその感情を表す言葉で役名が付けられています。
あなたの心をリードしているのは、どの感情でしょうか?そんなことを考えながら観るのも面白いかもしれません!