前回のブラッド・ピット【ヒューマンドラマ編】から一転、今回は鍛え上げた肉体を魅せ、危険なキャラクターの魅力を見せつけたアクション映画作品を9本選んでみました！こんな二面性を持ち、その作品ごとにガラッと180度印象が違う俳優も珍しいですね。初期の悪役から最近の戦争大作まで、特に印象強く残っているキャラクターに焦点を当てて作品を厳選していますので、ぜひ一度ご覧ください！
目次
①カリフォルニア（1993）
衝撃的なシリアル・サイコキラーを演じて賛否両論！戦慄の殺人者役に挑戦した問題作
ドミニク・セナ監督の初長編映画作品で、サイコキラーの心理を研究・執筆しようとカリフォルニアへの取材旅行に出た作家と写真家のカップルが、同乗者に本物のサイコキラーを乗せてしまうという恐怖のサスペンスを描いたアクション映画です。
シリアル・サイコキラーのアーリー・グレイスをブラッド・ピットが、アーリーを盲信する恋人アデールをジュリエット・ルイスが演じています。
https://www.youtube.com/watch?v=S_P2FoLCbZI&feature=youtu.be
【アーリー・グレイスってどんな人物？】
アーリーとアデールは作家のブライアンとその恋人キャリーが募った、旅費を折半する同乗者としてやって来ます。
しかしその身なりは貧相で、明らかにブライアンたちとは育ちや価値観の違うカップル…そんなちぐはぐな四人はカリフォルニアへ出発しますが、途中次第にアーリーの本性がブライアンたちにもわかってきます―彼こそがブライアンの研究する“サイコキラー”だったのです！
アーリーは下品で粗暴、しかし全く教養がないわけではなく、ブライアント有名な猟奇殺人「ブラック・ダリア事件」について語り合ったりします。
ブラピがここまで徹底した悪役を演じたのは、この作品ぐらいではないでしょうか？
原題の「Kalifornia」の“K”は“Killer（殺人者）”の意味が込められています。
https://www.youtube.com/watch?v=ni_R_4HyxwU&feature=youtu.be
②12モンキーズ（1995）
イカれた男を演じて称賛の嵐！？新たな境地を見出して評価を得たSFサスペンスの傑作
テリー・ギリアム監督によるサスペンスSF映画で、謎のウイルスで全人類の99％が死滅した終末世界を舞台に、タイムトラベルによってその世界を救おうとする主人公コールの闘いを描いています。
主人公のジェームズ・コールをブルース・ウィリスが、コールが過去で出会う精神病患者ジェフリー・ゴインズをブラッド・ピットが演じています。
https://www.youtube.com/watch?v=CBNMEwNx9x4&feature=youtu.be
【ジェフリー・ゴインズってどんな人物？】
コールが間違えてタイムトラベルしてしまった先の1990年に、精神病院で出会うのがジェフリー・ゴインズです。
彼はこの物語を大きく攪乱するためのキャラクターで、ブラッド・ピットはその役割を見事な怪演で十二分に果たしています！
実は細菌学者の息子であるゴインズが、コールが未来から探りに来た謎の組織「12モンキーズ」のリーダーだったことがわかり、ウィルスを世界に拡散させたと言われてきたこの組織の本当の目的も知ることになります。
コールとの初対面のシーンではかなりのイカレっぷりを見せつけたゴインズですが、動物実験に反対する行動を起こすなど意外と常識的かつ反抗的なリーダーとしての一面を持ち合わせていることも後々わかってきます！
https://www.youtube.com/watch?v=wcztDZ13TLI&feature=youtu.be&list=PLZbXA4lyCtqp3Frd7fYyIrTj3nudo_VTJ
③ファイト・クラブ（1999）
傑作社会派ミステリー！ミステリアスな魅力の“タイラー・ダーデン”とは何者なのか？
デヴィッド・フィンチャー監督によるミステリアスな精神世界と物質至上主義の対決をテーマにした作品です。
不眠症に悩む保険会社員が、偶然出会った不思議な魅力を持つ男タイラー・ダーデンと殴り合いによって生きる実感を取り戻し、「ファイト・クラブ」という“ファイト”を行う秘密の地下組織を作っていく様子を描いています。
主人公となる一人称のナレーター“僕（ジャック）”を演じるのはエドワード・ノートン、そしてタイラー・ダーデンをブラッド・ピットが演じています。
https://www.youtube.com/watch?v=PUfuc0mH3AQ&feature=youtu.be
【タイラー・ダーデンってどんな人物？】
タイラーはジャックが出張の機内で出会う石鹸の行商をしているという男で、謎多き人物です。
ジャックとは正反対の性格で、明るくユーモアにあふれ、いかにもタフな感じの非常に魅力的な男です。
初めはジャックと意気投合し、二人で「ファイト・クラブ」を大きくしていきますが、マーラという女性が二人の間に入ってきたことで、関係に亀裂が生じます。
タイラーは勝手に「ファイト・クラブ」をテロリスト集団に変えていき、物質至上主義に反抗し、テロを起こそうと計画するまでに至ります。
この作品はフィンチャー監督ならではの“どんでん返し”が待っているので、タイラーが実はどんな人物なのかは、ぜひ作品を最後までご覧ください！
ブラピ演じるタイラーは、その驚愕の真実を差し引いても、あまりにもミステリアスで魅力的！「エンパイア」誌の「最高のキャラクター100人」（2008年）の第1位にも輝いています！
https://www.youtube.com/watch?v=CR5Jp_ag2M8&feature=youtu.be&list=PLZbXA4lyCtqrhRcX5yPARKO4ZrmytqLuO
④スナッチ（2000）
鍛え上げた肉体を魅せたボクサー役でガイ・リッチーのクライム・コメディに初登場！
ガイ・リッチー監督のクライム・アクション・コメディで、スタイリッシュで奇抜な映像手法やクセのありすぎる俳優陣が個性的な作品です。
86カラットのダイヤモンドをめぐっての群像劇が繰り広げられる巧妙なシナリオで、物語の狂言回しターキッシュをジェイソン・ステイサム、ニューヨーク・マフィアのフランキーをベニチオ・デル・トロ、殺し屋トニーをヴィニー・ジョーンズ、そして素手ボクシングのチャンピオンのミッキー・オニールをブラッド・ピットが演じています。
https://www.youtube.com/watch?v=ni4tEtuTccc&feature=youtu.be
【ミッキー・オニールってどんな人物？】
ポスターやDVDパッケージでもど真ん中で存在感を示しているミッキーですが、この物語では中心人物ではありません！
しかし実はストーリーのどんでん返しのカギを握っている重要人物なのです。
パイキーと呼ばれるトレーラーで暮らすジプシー集団の若者で、この集団の中心的人物です。
ボクシングの腕を買われて、ターキッシュに裏ボクシングにスカウトされますが、彼は八百長するために雇われたのでした。
仲間たちを非常に大事にし、絆も深いパイキーたちですが、八百長試合のために連れてきたボクサーをミッキーが一発でノックアウトしてしまい、その報復でトレーラーを焼かれ、ミッキーは怒り狂います―このことがラストへの伏線となっています！
https://www.youtube.com/watch?v=isyFunAeYnQ&feature=youtu.be
⑤オーシャンズ11（2001）
オーシャンの犯罪ドリーム・チーム結成！シリーズ化した痛快クライム・アクション！
スティーブン・ソダーバーグ監督による1960年の作品「オーシャンと十一人の仲間」のリメイクで、2005年には「オーシャンズ12」、2007年には「オーシャンズ13」とシリーズ化されています。
凄腕の泥棒で詐欺師のダニー・オーシャンが計画するラスベガスのカジノ巨大金庫現金強奪に、彼の仲間が集結して金庫破りに挑むというストーリーで、オーシャンをジョージ・クルーニー、彼の右腕となるラスティ・ライアンをブラッド・ピットが演じています。
https://www.youtube.com/watch?v=1lCJTAtxFyo&feature=youtu.be
【ラスティー・ライアンってどんな人物？】
オーシャンが信頼を置いている人物で、経験豊富で顔が広く、オーシャンが出所後持ちかけてきた大計画に乗り、仲間のスカウトを始めます。
オーシャンが考え、ライアンが実行するというスタイルはその後のシリーズでも同様で、「12」では舞台をヨーロッパに移し、「13」では再びカジノ強盗計画を実行します！
キャラクターとしては、いつも何かを食べていたり、ホテル業に乗り出すも失敗続きという意外な一面もあり、愛車でオンボロの1963型フォードにこだわったり、「12」で登場したイザベルとうまくいかなかったりと、全て完璧にそつなくこなすわけではない、というところがまた魅力的なキャラクターとなっています。
仲間、特にオーシャンからの信頼は絶大で、お互い目で会話できるほど！最初の方ではハリウッドで俳優相手にイカサマポーカーを教えている場面で目配せシーンが出てきます。
https://www.youtube.com/watch?v=m6ux3-Z03B4&feature=youtu.be
⑥トロイ（2004）
肉体派の武将・英雄アキレス！ギリシャのトロイア戦争をモチーフにした古代戦争映画
ウォルフガング・ペーターゼン監督の歴史戦争映画で、古代ギリシャのトロイア戦争をモチーフに描かれたフィクション作品です。
ホメロスの叙事詩「イリアス」で語られた神話としてではなく、人間のドラマを中心として制作されています。
ブラッド・ピットはこの物語の主人公となるアキレス（アキレウス）を演じ、敵対するトロイの王子パリスをオーランド・ブルームが、宿敵ヘクトルをエリック・バナが演じています。
https://www.youtube.com/watch?v=wc0yoPxuWew&feature=youtu.be
【アキレウスってどんな人物？】
アキレウスはギリシャ神話の英雄で、「イリアス」の主人公として語られています。
ラテン語では“アキレス”で、「アキレス腱」の名の由来ともなっている人物です。
神話では神の庇護を受け、無敵の活躍をするも、唯一庇護を受けなかった弱点のかかとに矢を受け死んでしまうのですが、この映画では神が登場しないため、多くの相違点があります。
この作品でのアキレスは人間の勇猛な武将で、ブリセイスという一人の女性を一途に愛する一人の男としての側面が描かれています。
いずれにしても、ブラピのムキムキ筋肉と長髪姿をじっくり堪能できる作品です！
https://www.youtube.com/watch?v=-BiLCJxpqi4&feature=youtu.be
⑦Mr.&Mrs.スミス（2005）
理想の夫婦“スミス夫妻”―実は二人ともプロの暗殺者！？ド派手なアクションたっぷり！
ダグ・リーマン監督のアクション・コメディ映画で、凄腕の暗殺者同士が恋に落ち、お互いの素性も知らぬまま結婚してしまうというロマンティック・コメディでもあります。
素性がバレてからの壮絶な“夫婦ゲンカ”が見どころで、この作品で出会ったブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが、後に本当に夫婦になったという点でも、今改めて観ても楽しめる作品となっています。
夫ジョン・スミスをブラッド・ピット、妻ジェーン・スミスをアンジェリーナ・ジョリーが演じています。
https://www.youtube.com/watch?v=ygwwtShW2DQ&feature=youtu.be
【ジョン・スミスってどんな人物？】
表の顔は「スミス設計事務所」の経営者で、裏の顔は一匹狼のプロの殺し屋という二重生活を送っている人物で、しかしそれは妻のジェーンも同じ！彼女はジョンと違い、女性暗殺チームのリーダーとして組織に雇われています。
コロンビアで出会った二人はお互い一目惚れし、その後6週間で結婚してお互いの過去などよく知りもせず新婚生活を始め、ついに5、6年経ってからいわゆる「倦怠期」に陥ったのですが…普通と違うのが、二人は殺し屋という点！
野性的なカンで修羅場を潜り抜けてきただけあって、ジェーンに負けず劣らずタフなジョンですが、ややジェーンに及び腰なところもキュートです。
二人が出会ったコロンビアでマンボを踊るシーンは、やはり美男美女カップルでとってもセクシーです！
https://www.youtube.com/watch?v=qaB1zWyijso&feature=youtu.be
⑧イングロリアス・バスターズ（2009）
アルド・レイン中尉率いる栄光なきナチ・バスターズ！タランティーノが描く戦争大作！
クエンティン・タランティーノ監督による戦争映画で、第二次世界大戦のナチス占領下のフランスを舞台に繰り広げられる“復讐”の物語です。
全編が5章に分かれていて、各章の主人公となる人物は三人、一人目はナチスに家族を殺されたユダヤ人のショシャナ、二人目はその家族を殺した「ユダヤ・ハンター」のドイツ軍人ランダ大佐、そして三人目がユダヤ系アメリカ人の秘密特殊部隊をまとめるアメリカ軍人レイン中尉です。
ブラッド・ピットがアルド・レイン中尉を、メラニー・ロランがショシャナ・ドレフュスを、クリストフ・ヴァルツがハンス・ランダ大佐を演じ、それぞれ強烈な印象を残しています。
https://www.youtube.com/watch?v=6ckc9r3ySyo&feature=youtu.be
【アルド・レイン中尉ってどんな人物？】
アルド・レイン中尉は、アパッチ族を祖先に持つ、いかにも勇猛果敢な兵士ですが、その方針は残酷で、率いる部隊の面々にまず伝えるのは、「捕虜は取らず、拷問・殺害の上ドイツ兵の当否を100枚剥ぐこと」―ドイツ軍にも恐れられる“ナチス・バスターズ”なのです！
生き残ったドイツ兵の額にハーケンクロイツの印をナイフで刻むという恐ろしい行為も笑いながらするような徹底ぶりです。
そんな反面、少し間抜けた一面も！物語のクライマックスの「映画館作戦」で、ドイツ人二重スパイの女優が裏切ったと勘違いしたり、ナチス高官を集めたプロパガンダ映画試写会での“作戦”のため、ショシャナの映画館に乗り込んだものの、イタリア人の振りをするという無茶振りで四苦八苦するシーンでは、コメディ色たっぷりに演じています。
https://www.youtube.com/watch?v=BN4GI97RoSw&feature=youtu.be
⑨フューリー（2014）
対独戦を戦い抜いた米軍戦車“フューリー号”！第二次大戦での戦車小隊の決死の戦い！
デヴィッド・エアー監督による戦争映画で、第二次世界大戦末期での連合軍対ドイツ軍の最期の攻防を、戦車小隊にフォーカスして描いたドラマ大作です。
アメリカ軍の機甲連隊に所属するドン・“ウォーダディー”・コリアー車長をブラッド・ピットが演じ、戦闘経験のない新兵ノーマン・エリソンをローガン・ラーマンが、砲手のボイド・スワンをシャイア・ラブーフが演じています。
撮影には現存する本物のドイツ軍重戦車「ティガーI」が使用され、劇中でのアメリカ軍M4中戦車シャーマンとの激闘が大きな話題となりました。
https://www.youtube.com/watch?v=ZnHfXeIf7dA&feature=youtu.be
【ドン・”ウォーダディー”・コリアー軍曹ってどんな人物？】
アメリカ軍第2機甲師団第66機甲連隊、いわゆる戦車小隊の車長を務め、1940年からの北アフリカ戦役での歴戦を潜り抜け、シャーマン戦車「フューリー号」を、自分たちの“ホーム”だと言い切る、非情かつ冷静な、しかし部下や戦車に対する愛情にあふれた人物として描かれています。
ノーマンに対しては、初めは厳しく接しますが、次第に父と息子のような絆が芽生えていきます。
一方ノーマンは戦場に慣れていくと同時にドイツ兵への憎しみも増していきます。
最終局面で、フューリー号を放棄しなければならなくなった時、ウォーダディーはどうしても見捨てることができず、クルーたちも彼に従います。
この作品のために、ブラッド・ピットは戦車の操縦をイギリスまで習いに行ったそうです！
https://www.youtube.com/watch?v=L0HDFw3Pf4w&feature=youtu.be
まとめと続き
ブラッド・ピットの強烈キャラクター【アクション編】はいかがだったでしょうか？
公私ともに順調なアンジェリーナ・ジョリーとは、昨年彼女の監督第三作目「By the sea」で、「Mr.&Mrs.スミス」以来の共演を果たしていますが、実はこの映画は、2014年に正式に結婚して以来の夫婦共演初作品で、現実とは逆の離婚危機を迎えた夫婦を演じています！
そして次のブラピ最新作は先日地上波でも放映された「ワールド・ウォー Z」の続編となる予定ですが、この作品はご覧になったでしょうか？「Z」が“ゾンビ”とは知らず観てしまいました…！
しかしこの作品はゾンビ映画ながら、実はブラッド・ピット製作・主演作の中で最大のヒット作なのです！
今後も俳優活動以外の映画製作の方面でも力を入れたり、アンジェリーナ監督第4作目「Africa」での再共演も噂されています。次回作ではどんなサプライズを見せてくれるのか、今から楽しみです！
https://www.youtube.com/watch?v=qg3CdKJxQUs&feature=youtu.be
